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【interview #5 】 コーヒーと私 [第二弾] KAWASEMI COFFEE 店主 山下ヤマディ政宏

「平安ズ」というグループ、もしくはユニット、ポッセ、いやアイデンティティを知っている人はほぼいないだろう。それは僕と彼によって2022年初頭に突然発生した出来事だ。
ある占い師に僕は「1000年前の考え方で生きているようですね」と言われ、平安か〜と思っていると、何と彼もそう言われたようで「あなたは彼と非常に相性がいいですね、はい。」などと言われたもんだから2人とも舞い上がってよく分からずにチーム平安などという謎の言葉を共通意識として持ちはじめた。
これは完璧に後付けだが、平安ズの理念として挙げられるのが手作業でやるという事ではないだろうか。1000年前だしね。
僕たちの身の回りのものは工場で大量生産され、当たり前の様に使われ、捨てられ、また新しいモノが生まれ、その繰り返しが行われているわけだが、その商業的な流れに逆らい、敢えて効率の悪い方法を彼は選ぶ。
持続可能な世の中が求められている中、本当に大切な事とは何か。その答えこそ、丁寧に時間をかけた手作業の中に見つけることができる様な気がする。不便を楽しみ、人間本来のポテンシャルを引き出す。
彼と話しているととてもポジティブな気持ちにさせられる。人が好きで顔をくしゃっとさせ無防備な笑顔を見せてくれる。
かと思えば、何かをやり始めると途端に真剣な表情で彼の中の職人が顔を覗かせる。
本文でもそんな彼の人格を感じてもらうことができると思う。
彼の名前はヤマディ。
どうぞ。
編集部 小野

SVBC :  今日はカワセミコーヒーさんをゲストにお迎えしてます。宜しくお願いします。(以下 S

KAWASEMI COFFEE : 宜しくお願いします。(以下 K

S : 野外での焙煎初めてですか?どうでした?

K : そうですね、初めてですかね。自然との勝負ですね。

風が強く、焙煎に苦戦する KAWASEMI COFFEE

S : 早速ですが、経歴を簡単に教えてください。

K : 高校卒業して、トヨタの専門学校行って21歳、それから福岡のレクサスのメカニック行って4年間。それから実家の焼肉屋に入って10年くらいですかね。

S : その時36歳くらいですか?

K : うん、それで途中で蕎麦を覚えたいと思えて、そこからやるなら手打ちの本格的なものを学びたい。と思ってそこから蕎麦に飛び込みましたね。

S : なんでそこから蕎麦に行ったとかな?何か衝撃的なことがそこからあったとか?

K : あー、そんな事はないんですけど…
鹿児島のお店、しゃぶしゃぶ屋さんにいった時に、そこに蕎麦が出てきて。まっ、実家がしゃぶしゃぶを扱ってるので。それで蕎麦を出したいなと思って。それで出すなら本格的なものを味わいたいなと思って。そこから本格的にハマって、大分に修行に行ったんですよ。

S : それは前回コラムで書いてくれた豊後高田の。

K : そう、豊後高田に半年居ました。

S : その実家の焼肉店で働いている時に修行に?

K : そうそう、そうです。

(〜♪ここで近くの学校のチャイムがなる〜 氏の蕎麦道の扉が開く音…)

S : じゃあそれから、現在働いているおたに屋さんにどういった経緯で働き始めるんですかね?

K : 農業の方からも高千穂のおたに屋は携わっていて。穀物を育てる所から蕎麦を作っているんですよね。それに凄い興味を持って。

S : 覚えるなら作るだけではなくて、生産するところから。

K : だから面白いですよおたに屋は。土づくりから始まって。

S : で、今に至ると。

K : そうですね。

高千穂岩戸にある "おたに屋" からの風景

S : で、何故珈琲にまた興味を持ったんですか?

K : 珈琲はですね、奥深くて。まぁ、研修で和歌山の方に行った時に。
あまの凡愚ぼんぐうという高野山の麓にあるお蕎麦屋さんで、70歳中旬くらいの大将、大阪でも有名な方が蕎麦屋をしてるんですけど、そこに行った時に自家焙煎珈琲というのがあって、メニューの中に。

自家焙煎コーヒーに出会う当時の KAWASEMI COFFEE

S : 自家焙煎珈琲。中々珍しいメニューですね!

K : そうそう、自家焙煎珈琲って書いてあって。それを飲んだ時に…繋がったんですよね。蕎麦と珈琲が。

S : ほうほう。

K : 何か穀物から味を引き出すカテゴリーっていうか、

S : 共通点みたいな。

K : 一つの穀物からですね、それだけのモノを引き出すということにハマってしまって。

S : それで自分でコーヒーをやろうと思ったのはそこから?

K : そう、焙煎から始めて。

S : それまでは家でコーヒー淹れたりとかは?

K : コーヒー…どちらかと言うとあんまり好きじゃなくて…30才くらいまで飲めなかったんですよ、砂糖入れないと。

S : え?

K : それが、コーヒー教室がキッカケで。コーヒーってこんなに美味しいんだって思えて。抽出の仕方一つ一つでこんなに味が違うんだということに気がついて。そこから、コーヒーにハマって砂糖も入れずにブラックで飲んだほうが良いって気がついて。

S : じゃあどっちかというと、コーヒーが好きでコーヒー屋を初めたというよりも、蕎麦からの繋がりですね。穀物がどういう過程で口に入るまで変わってきてるのかという事に興味になったのがキッカケ?

K : そうです。はい。

S : それで、手廻し焙煎。これはかなりカワセミコーヒーの特徴的なね。

K : ですね〜。何か自分の身体で表現したいというか。車に例えると、ミッションとオートマみたいな感じですね。

風よけの為場所を移動し、焙煎具合をチェックする KAWASEMI COFFEE

S : 現在蕎麦屋さんと同時にコーヒー屋さんをやってる訳ですが、蕎麦とコーヒーの共通点と相違点。どういうところにありますか?

K : そうですね、蕎麦は1つの穀物。コーヒーは果実から種を。と、プロセスがあって。その1つのモノから味を引き出すカテゴリーが凄く深くて。コーヒーだと種に火を通す。蕎麦は茹でる時に火を通す。
過程は違うけど1つのモノからどれだけ最大限に美味しさ、味を引き出すというのが共通してますね。

S : 余計なモノが無いですよね。

K : ないですね。その本来のモノの引き出し方をどれだけ引き出すかという事。

S : じゃあ、次に違いはありますか?

K : そうですね〜、まず、蕎麦は穀物で。コーヒーは果実。そこは違ってきますよね。違いか〜…まず、細かく挽くっていう工程、そこは似てるけど、火を通して焙煎するという事は違いますね。珈琲は火を通すけど、蕎麦は火を通さない。茹でるってところだけ火を通す。

S : コーヒーを手廻しで焙煎するってあまり見聞きしなかったんですが、なぜそれをやろうと思ったんですか?普通は機械で焙煎するのが主流ですよね?

K : コーヒーは数値化して再現性が重視されるんですが、僕はそれを手で表現したいというのが強くて、手廻しで挑戦したいと思いましたね。

S : 逆にそれは味にムラが出るというデメリットもあるのでは?それをどうカバーするかという事は意識しますか?

K : 自分の感性で表現したいというのがあって、やはり焙煎度合いとかも体で目でいろんな五感でコーヒーを感じて、そこから表現したいという思いが強かったですね。
煙の立ち方とかもそうだし、香りの立ち方、あと目でみるコーヒーの色も。数字以上にそういうものを体で感じたかったっていう。

S : 焙煎の後に石臼で挽くというチョイスもなかなかないと思いますが、それは蕎麦屋からの発想もありましたか?

K : 多少はありますが、手廻しで焙煎をこだわったぶん最終的に挽き方も石臼でしたら熱でコーヒーに負荷をかけないし香りの立ち上がりも電動ミルよりも感じれると思うので石臼で出してます。

S : いっぱいのコーヒーができるまでの過程と思いを聞きたいんですけど…

(〜ここでセミの大合唱〜 セミ達も聞きたがっているようだ…)

K : 夏やね 笑 (一同 笑)

S : カワセミコーヒーさんの特徴的なものは何ですか?

K : 一番人気なメニューは「KOMOREBI BLEND」という商品ですね。

パッケージングも手作業で行う
椎茸の杭打ちも手作業で行う

S : なぜその名前にしたんですか?

K : いやもうほんとに思いつきですね笑。
それこそ、おたに屋の山の中で椎茸の杭打ちをしてる時に、すごいなんか光の入り方が森の中で「あっこれ木漏れ日だな」と思ってすごくいいなと思って。

S : じゃあ一杯のコーヒーをを作るまでに木漏れ日を意識したりするんですか?

K : 木漏れ日意識して…したかなぁ〜笑。

S : その木漏れ日ブレンドコーヒーをお客さんに出すまでの工程を教えてください。

K : 卸屋さんから生豆を仕入れて、本当にすごいよくしてくれて色々アドバイスとかもしてくれて電話でやりとりしてる会社なんですけど、そこから仕入れて…あっ!
仕入れる前から選びますね!国・生産者で全然違ってくるので、あと豆の種類とか。

S : まずどういうものを作りたいか卸屋さんに伝えるわけですね?

K : KOMOREBI BLENDを作った時はまず女性目線で考えたんですよね。身近な女性考えたらうちの嫁とか色々考えんたんですけど、女性は酸味が苦手という方が多くて、酸味の少ない豆を探して見つけたのがグアテマラの豆なんですけど、その中でも色々探して卸屋さんと相談して決めました。

S : その豆が届いた瞬間はどういう気持ちですか?

K : 香りがフワ〜っとしてバッと開けて嗅いですごい好きな瞬間ですね。そして豆の状態を見ますね。豆に虫食いとかあるんですよ。そこから青カビとか発生するので、それをひとつひとつ見て抜くんですよ。そこから焙煎します。

S : どのくらいの量を一回に焙煎するんですか?

K : 1回に1キロが最大です(手廻し焙煎機を指差して)1キロ焙煎してできるのが水分が飛んで大体850gくらいですね。それくらいしかできないです。

S : 手廻し焙煎で注意してることはありますか?

K : そうですね。一番注意してるのは火加減ですね。手廻し焙煎第一人者の「大坊さん」という方で南青山に店を出されてるんですけど、何十年も手廻し焙煎をされてて、僕はその方に教えてもらいたい!と思って講義を受けに行ったり教室に行って勉強して焙煎してるんですけど。火加減は最初は最大にして、だんだん負荷を落としていきます。

S : いや〜カレーの玉ねぎ炒めと似てますね!
最初はゆっくり豆の様子を見ながら感じながらやってるけど後半になるにつれてだんだん回すのが早くなって…

K : え!ほんとに?玉ねぎの火加減は最初はMAX?

S : MAX 笑。
物によって毎回若干違う火加減で、それが人力でやってる責任感のすごいある過程ですよね?

K : あっはっはっは!責任感!分かる笑。

S : これを疎かにしたら全てが終わるというか、コーヒーを一杯作るまでに生産者から考えると台無しにできない重い作業ですよね。

K : うんうん、生豆を仕入れてる会社は生産者さんとの繋がりがすごい深いから、そこにも感銘を感じてますね。

S : 焙煎されたあとは?

K : 焙煎してすぐには出せないですね。3〜4日寝かせます。焙煎したてだと味が暴れてる感じがあるので落ち着かせます。それで挽いて出してます。高千穂でやってるコーヒー教室でも手回しの焙煎機使うんですけど、その時はそのまま出したりするんですけど商品としてはちょっと寝かしますね。

熱心に聞き入る主婦達の前にあるどんぶり

S : 寝かせることでどういう違いがあるんですか?

K : 味自体に落ち着きが出る感じはあります。

S : 石臼で挽くやり方は豆によって変えてるんですか?

K : 変えてますね。まず出店の時はお客様と一人一人コミュニケーションをとれるので、その方にあった味っていうのを挽き方によって変えてます。例えば、ドシっとした味が好きという方にはコーヒーに粒度を細かくするんですよ。石臼で挽くと豆を少しづつ落としてゆっくりやる。逆にサラッとスキッと飲みたい方には粒度を荒くするんですよ。豆の量を落として石臼を浮かせた状態で廻す。

S : 淹れ方でも変わりますか?

K : 大きく変わりますね。最初にお湯をやや淹れるんですよ。大坊さんのコーヒーは一滴づつ淹れてましたね。僕が影響を受けた「ワニさん」のコーヒー教室の時も最初は少しづつでしたね。

S : 少しづつ淹れることでどういう違いがあるんですか?

K : コーヒーフィルターの中のお湯の落ちるスピードが遅くなるのでコーヒーに触れてる面積が多くなるんですよ。そのぶんコーヒーの味が引き立つ。湯量が多いと早く落ちるのでコーヒーに触れる面積が少なくなる。

S : 僕の浅い知識ですが、最初お湯を少し淹れて蒸らすわけですよね。その後のお湯の淹れ方はどうしてますか?

K : 僕は蒸らしの時間を結構長めに取ります。コーヒーとお湯のふれあい方を多めにとって馴染ませて、そこから2発目で3〜4回くらいに分けて淹れますね。

S : いやー、コーヒーが飲みたくなってきました。

ーーー この時点でのあなたの選択肢 ーーー

① KAWASEMI COFFEE を準備し上記の淹れ方でコーヒーを楽しむ
② ○レンディにお湯を注ぐだけにする
③ 他の飲み物で気を紛らわせる
④ 手回し焙煎機と石臼を購入する
⑤ 続きを見るのをやめる

・上記を選択の上、続きは動画をご覧下さいませ〜


KAWASEMI COFFEE(カワセミコーヒー)
▶ ︎Instagram : takachihosoba_kawasemicoffee


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