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モンゴルのロックバンド HU(フー)と映画『セールスガールの考現学』が表現するコンテンポラリー・モンゴル。
モンゴル人もぼくらと同じ現代を生きてるんですね。モンゴルは1990年にそれまでの社会主義国から民主主義国家になって、30年あまりの時が経ったんですね~。モンゴルのヘヴィーメタルバンド HU を聴いて、ぼくは椅子から転げ落ちた。こんなロックがあったのね!?? かれらのビート観はしいて言えばデスメタルっぽいと言えるかもしれないにせよかなり独特で、しかもかれらのサウンドは謎のモンゴル発声ホーミーや馬頭琴も使っていて、なんとも不思議な独特世界です。しかも、かれらが雄大な大自然のなかで自由奔放に演奏するクリップは new age 的なヴィジョンとマインドフルネス的地球との交感感覚、そしてなによりも神秘性をかもしだしていて。そりゃあ大成功もするでしょう。
おもえばモンゴル民族ってもともと暴走族みたいな民族だったのかもしれませんね。服の背中に「紋呉琉」とか「憂国烈士」とか刺繍入れて、馬に乗って攻めてゆくときモンゴルの旗とか掲げてそうですものね。(いいえ、モンゴル人はモンゴル文字を使います。)馬具にしてもきっとチョッパーハンドルとか背もたれつき三段シートみたいなものに相当する独自の趣味があったことでしょう。もっともそれを言うならば、日本の鎌倉時代だって、ヨーロッパの十字軍の時代にだって同様の話がきっとあったことでしょう。それはさておき。
"Hu"は、モンゴル語で〈人間〉を意味するそうな。かれらの活動が本格化するのは、結成2年めの2018年秋にYOUTUBEにこれらの2曲のクリップをアップロードしたときから。2019年10月までの約1年間で2500万回再生を記録。"Wolf Totem"はビルボードのHard Rock Digital Song Salesで1位を記録。そしてかれらはヨーロッパツアー、北米ツアーを成功させています。モンゴル大統領はかれらの成功をよろこび、かれらの国家振興の功績を賞讃したそうな。
ぼくはまったく知らなかったけれど、HUは2020年にウドーが単独公演として呼ぼうとしてチケット発売までしたものの、しかしコロナで中止になった。 しかし去年2022年はフジロックに参加したそうな。いまやHUは世界的スターで、2023年現在かれらは精力的にワールドツアー中です。
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ただいま上映中の映画『セールスガールの考現学』が描くモンゴルがまたびっくり仰天。
ざっとこんな物語です。まじめで内気な(絵を描くことが大好きながら、ウランバートルの大学で原子力工学を学んでいる)モンゴル少女大学生20歳(?)が、おもいがけず、あろうことか友達の代役としてアダルトグッズショップでバイトするようになって。そのショップのオウナーの中年マダムに、快楽主義哲学をさずけられて、内気な人生から脱出し、解放されてゆくという話がまずあって。ただし、他方その快楽主義を唱える中年マダムもまた実は心の哀しみを抱えていた、という話です。いっけん水と油のようなおばさんと少女の友情が描きあげられます。
この映画を見た外国人はみんな椅子から転げ落ちちゃって、結果、この作品はいくつもの賞を受賞しています。アイディアの勝利ですね。それにしてもぼくらはモンゴルのことを、(元寇とそして朝青龍、白鵬、旭鷲山、旭天鵬以外には)、なーーーんにも知らないんですね。