遊牧民の末裔も、騎馬民族の血を引く者も、ジプシーの血の混じる者も、みんな、グヤーシュとロールキャベツを食べてきた。
ハンガリーってどんな国でしょう? 東欧のまんなかにある内陸の小国。ただし、波乱万丈の歴史を持っていて。しかもかれらの言語はどくとくで印欧語族(怪しげな概念だけれど)とは違う。民族構成も多種多彩。もしもあなたがクラシック音楽のリスナーならば、バルトークの曲を聴くと、どこかしら異質でエキゾティックななにかを感じるでしょう。また、タル・ベーラ監督の映画『アウトサイダー』の冒頭で主人公が精神病棟で弾くヴァイオリンの響きに、もともとヴァイオリンが騎馬民族の楽器であったことをおもいだすかもしれません。ハンガリー人はいったいどんな料理を食べているかしらん? 壮麗な建築群、かわいい家々、街をのんびり走るトラム・・・「ドナウの真珠」ブダペストにおもいを馳せながら、女友達とふたりで、昭和のふんいき漂う自由が丘デパートのその三階にあるこちらのお店に伺った。
ぼくらはこんな注文をした。
ハンガリーの赤ワイン(Chapel Hill ピノ・ノワール)3600円。
澄み渡った綺麗な味わい。いくらか薄く感じるのは、もしかしたらぼくのワイン生活に偏向があるから???
オードブル盛り合わせ。1480円。
(ニシンのオイル漬け。魚のすり身のテリーヌ、赤パプリカのピュレ添え。糸切りニンジンのマリネ。黒&緑のオリーヴ)
盛りつけがかわいらしく華やかでおいしい。
グヤーシュスープ1380円
牛肉、タマネギ、じゃがいも、トマト、ニンジン、ピーマン、セロリのスープ。
ミネステローネに柔らかく煮込まれた牛肉片をくわえたイメージです。滋味ゆたかなおいしさです。
ライ麦パン 250円
ロール・キャベツ 1580円
キャベツのうまみが染みわたったスープのなかに葉巻状のロールキャベツがふたつたゆたっています。ロールキャベツの内側の肉のパテはシルキーな仕上がり。
いいですね~、遊牧民の末裔も、騎馬民族の血を引く者も、ジプシーの血の混じる者も、みんな、これを食べてきたんですね~。
Kalyi Jag(ハンガリーのロマ民族音楽グループ)のTuke Bahh という歌。
西側メディアは、ハンガリーと言えばオルバン・ヴィクトル首相を独裁者として批判するけれど、しかしじっさいにはあきらかにかれには、東欧政治バランスのリアリズムがあって。かれはけっして西側陣営の新自由主義の暴走とウクライナ戦争への一致団結的支援に加わらない。
キッチン カントリー
03-3717-4790
東京都目黒区自由が丘1-28-8 自由が丘デパート3F11:30~14:00(L.O) 18:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日:水曜日