仏教の大衆普及が新書文化のルーツ
日本の知識の大衆化の原型の一つは、仏教の普及に見ることができます。まずは
聖徳太子の法華経・維摩経・勝鬘経の義疏
があります。これは、当時の専門的な僧侶が、専門的に扱っていたお経を、推古天皇のような「素人」に解るように解説しています。
このように
仏教の教えの大衆化
は、中華文明への取り込まれ、属国化を避けて
平等思想
を、国として持つために有効でした。
また、真言宗の八祖を次いだ、弘法大師空海は
般若心経秘鍵・観音経秘鍵
などの、お経の「解説」を説きました。
さらに、和讃が多く造られて、多くの人に伝わりました。例えば、地蔵菩薩が、幼くして死んだ子供を救う様子を、地蔵和讃が描いています。
こうした、お経の大衆化の伝統が、仏教伝来時から続く、日本の文化にあります。
これを考えると
日本の新書文化
は、歴史的に深い根があります。