幾何学の成立を知る
私達が、中学や高校で習う幾何学は
論理的な考えの基礎
としての位置づけで教えられました。確かにそのような一面はあります。しかしながら
幾何学の成立は西洋文明発想の基礎
として、もう少し考えるべきだと思います。
私が言いたいことは、幾何学の成立に必要な
現実を抽象化・理想化して考える
方法の力です。幾何学では
大きさがない点
太さがない線
ゆがみがない直線
等の
理想的な図形
で考えるから
合同
と言い切れます。
これを現実の土地で考えて見ましょう。一例として
自分の土地を他の土地と交換
と言う場合を考えましょう。例えば
同じ面積の土地
と言われても、立地条件などで色々な問題があります。極端な事例では
駅前のアクセス至便
と
山奥の辺鄙な土地
を
同じ面積だから交換
と言う人は、ほとんどいないでしょう。
実際、日本の歴史を見ると、特に鎌倉時代からの武家政権は
土地問題の裁定
が、政治の大きな課題となっています。そこは
両者の言い分をキチンと聞き納得いく裁定
が必要で
中間に直線を引く裁定は不評
なお不満を持つ者には最後には武力討伐
と言う実行形態です。建武の新政の失敗の一因は、こうした裁定能力を南朝政治が、作れなかった点にあります。
こうした
現実の複雑さに正面から向き合う
のが日本的な思考法です。
しかし、幾何学の割り切り発想は
基本原理の発見
には大きな力を発揮します。ルネッサンス以降の物理学の進歩は
単純化した理想化モデル
の上で考えて達成しました。
しかし、この発想は
植民地の分割を地図上で行う
直線の境界線
と言う弊害を引き起こしました。アフリカなどの民族紛争は、こうした
現状に合わない国境
が原因という面もあります。
こういう風に考えると、幾何学の成立は、西洋文明の力に大きく影響しています。
今までの記事も見ていただければ幸いです。
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