受け入れられる知識
昨日書いた、社会学の仕事での活用について、今回は
学問知識の実用化の失敗
と言う点で考えます。
まずは
優れた考えが理解されない
問題です。私の経験でもありますが
世間が認めるの一歩先
十歩先の予測は受け入れられない
と言う状況です。この問題について、原因は
説明力不足
受け入れ側の力不足
判っていても実現問題で拒否
と分かれます。説明力不足の原因には、表現力の問題と、総合的な配慮不足の二面があります。特に
聞き手が大切に思うことを無視している
と感じさせると、そこから先は「心を閉ざした」状態になり、聞く耳を持たなくなる傾向があります。こうした、理屈でなく、感情で聞く人がいる、こうした配慮も必要です。
次に、受け入れ側の力不足の問題は、上司に対する場合と、部下の場合で対応が違ってきます。上司の場合には、相手の理解力をある程度は、期待してもよいでしょう。それでも、判って貰えるように、必要な周辺知識を伝えるなどの努力は必要です。
できるだけ、上司の目線に立って、総合的な図を描き、必要な関連知識をまとめておきます。その上で、要点をまとめたモノで説明する。うした姿勢が、信頼関係をつくり、聞いて貰えるようになります。
例えば、現在の会社の警備を、ロボット等のIT技術で置き換える、これは技術動向としては、ある程度納得がいきます。しかし、管理職などの立場では、既存社員や取引先との関係などもありますし、設備投資の問題もあります。こうした点に関しても、将来の少子化により人手不足等まで含めて、総合的に議論すれば、聞いて貰える可能性は増えるでしょう。
逆に
いい提案を聞かない上司が悪い
「ベンチがアホやから野球がでけへん」
等と、他罰的な発想になると、何事も旨くいかなくなります。
さて、部下が理解してくれない状況には、日米の管理状況で、大きな問題があります。これは
アメリカ:テイラー的管理法でボスの命令に従わせる
日本:皆の納得を重視
と言う違いです。これを、もう少し歴史で見れば
奴隷制度のあった西洋文明
を理解しておく必要です。しかしながら、日本の経営学などの教科書には、MBA教材など
アメリカ流儀
有能なるモノの命令の従え
が多く入っています。そこで、暗黙的な底流の「ボスの命令絶対」を、日本の会社で行うと、多くの抵抗に遭います。この違いを意識する必要があります。
日本の「納得による管理」の為には
まずは現場の状況を知る
現場の声を聞く
姿勢を皆に示すことが大切です。この姿勢が、伝わらないと、皆は聞いてくれません。次に大事なことは
理論よりイメージ
先行事例や試験的実行
の発想です。上司の場合には、まだ
理論的な話を理解したい
と言う意欲があります。しかし、部下にそれを期待してはいけません。現場的な話が大切です。そのための、先行事例の紹介や、部分的な試行を示すことが必要です。
なお、前の警備ロボットの例で考えると、現行の警備の人たちの処遇問題があります。さらに、原状を聞いてみると
警備員が時間外の
お客様への対応をしている
と言う様な、枠を超えたサービスが出る場合があります。こうした、現場の状況を踏まえた、総合的な提案が、受け入れられる知識のために必要です。