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物理学には進化論が成立

昨日書いた
西洋文明で進化論は必然|鈴木良実 (note.com)
に関連して、物理学の進化論を、もう少し考えました。

フランスのエピステモロジーでは、科学の歴史を3期に分けて考えます。

  • Ⅰ期はアルキメデスとアリストテレスに支配された西洋中世まで

  • Ⅱ期はルネッサンスからニュートンを頂点とし18世紀終わりまで

  • Ⅲ期は19世紀から現在まで

と言う発想です。各期の特徴を考えると

Ⅰ期はアリストテレスの自然学を頂点とします。そこでは

しっかりした観察とその説明

が行われました。一例を挙げれば

物を投げても落ちる
その理由は物の本質は止まること
それならば投げた物が動くのは
物が動くと真空が出来る
自然は真空を嫌うのでそこに空気が押し寄せ
その力で一時は物は進む

と言う定性的な議論です。これに対して、ガリレオは

実験で動き続ける性質

を見いだしていきました。

次に、第Ⅱ期の特徴は、ガリレオの

宇宙と言う書物は数学の言葉で書かれている

が示すように、数学的記述による、厳密な理論を展開します。ここでは、必要に応じて、数学自体も進化していきます。ニュートンの微積分の発明はその一例でしょう。

これに対して、第Ⅲ期は多様な分野への展開を、特徴とします。物理学も電磁気学や熱力学と展開し、それぞれを支える数学的な道具も充実してきます。更に、相対性理論や量子力学は、ニュートンの力学大系を

ある条件で成立した近似

に追い込みます。しかしながら、現実の問題解決には

ニュートン力学で十分

な場合も多くあります。

このように見ると

物理学は進化している

と考えるのは自然だと思います。

もっとも、その発想を全ての科学に押しつけるのは、問題があると思います。


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