納得の二つの道
私たちの納得の方法には、大きく分けて二つの道があります。つまり
単純化して原因結果を明確化
経験などで太らせてイメージを持つ
と言う道です。つまり、細く絞り込むか、広げてそれを囲む世界に入り込む発想です。1.の単純化の道は、いわゆる、西洋文明の伝統に連なる
科学的思考
の発想です。ユークリッドの幾何学は、図形の本質的な要素だけで議論します。ニュートンの力学は、物体の質量を一点にまとめた「質点」の関係で、成立しました。
さて、2.の太らせる道は、東洋文明の流れが強く、仏教の思考でも、色々な例があります。例えば
唯識
の教えなら
モノを見たとき
今までの経験など全てが入っている阿頼耶識
の種子から我が生じた末那識
意識の働きを通じて観る
と言う因縁果報等の影響を加味し、見えるモノを膨らませる発想です。この膨らみは、過去の経験だけでなく、未来からの期待も関係します。
こうして膨らんだ概念は、色々な想像の世界で、動かしてみることで、座りよい納得に至ります。
こうした、イメージ豊かな説明も、実際は必要だと思います。
ある哲学者が
法華経は
比喩の名手と詩情豊かな才人の
合作ではないか
といっています。私は、この両立が「仏の智慧」だと感じました。