企業内教育と学校教育
学校教育に対する批判の一つに
企業内教育の方がしっかりしている
と言う議論があります。この問題に関して、私は以下に示す色々な面で、係わっていますので、発言権があります。
会社内で研修課長としての経験
社内技術講座などでの多くの講師経験
大学での講師経験
身内に学校教師がいる
私が、大学の先生と話すとき、冗談交じりに
「電気工学出身者に、マックスウェルの方程式の意味を教え、機械工学出身者などに、片持ち梁の折れ方を教え、法学出身者に法的三段論法の使い方を教える。」
と言うと、多くの先生は参ったと言いました。こうした
知識の生かし方
説明力
は学校教育では、なかなか身についていない面です。
さて、もう一つ社内教育が強くなる必要性は
学校の卒業で終わりでなく
終身雇用での付き合い
が有ります。つまり
教えた人間の稼ぎが自分たちに返る
成果評価が厳しい
のです。この点が大きいのです。昔、ワインバーグというシステム理論研究者が
「医学部の卒業成果として指導教官を手術させろ」
とブラックジョークを言いました。「教官達は学生の腕を知っているので、全速力で逃げる。」と言う落ちです。
このように、企業内教育の立場から見れば
学校教育は緩い
と言う人が出てきます。また、社内講師の場合には
その人の実績が無いと相手にされない
状況です。言行一致でないと、きれい事の講習は通用しません。自分で教材を準備できないと、教育は出来ないのです。
このような企業教育の目で見ると、教科書会社が指導用の教材まで支援する、学校教育は甘い、となります。
これに対して
企業教育は受講者を絞れる
学校は与えられた教材で与えられた生徒を教える
と言う学校側の反論も有ります。私はこの点には、学校側の言い分にも一理あると認めます。
基礎的な土台作り
がきちんと出来ているから、その上での必要事項を、楽に教えることが出来るのです。
こうした両面からの議論が必要と思います。