1枚に表す力
学生から会社員への切り替えで、大切なことの一つは
決められた範囲の厳密->全体を見た確からしさ
の切り替えがあります。
このことを理解できない人が、特に技術系の真面目な人に多くいます。私は、新入社員育成などで、こうしたトラブルを見てきました。彼らは
自分で決めた範囲の技術力
をアピールしますが、その力は一つの要素で、それだけで充分ではありません。こうした人たちが漏らす不満の一つは
「この会社では、技術でなくA3用紙1枚の文書を作る力が重要」
です。確かに会社では
提案書などはA3ないしA4用紙1枚にまとめる
力を重視します。この理由は、A3用紙ぐらいのスペースがあれば、全体像を見ていることが示せるからです。
例えば、自動車のエンジンについて、技術的議論と言っても
熱効率だけでXX方式が良い
は、研究所の議論では良いでしょうが、実際では
それを実用化出来るか?
冷却や摩耗は?
車の暖房効果は?
等の色々の面から考慮しないと、新方式採用には踏み切れません。アメリカで大寒波が来たとき、電気自動車が動かなくなった例もありますね。ガソリン自動車の「無駄な熱」が、暖房で貢献している。このような視点で広く見る必要があります。
そこで、ここでは
会社的な文書の作成法
を少し説明しておきます。
文書に必要な情報を挙げると、以下のようになります。
① 主題の明示、必要に応じて副題で絞り込む。
② 自分を受け入れてもらえるように発言資格を自己紹介で提示する。肩書が示す場合もある。最低限、署名を入れて責任を明確にする。
③ 取り上げた話題の状況の全体像を示す。理想像(方向付け)を示した上で現実と比較する。この時、 長期的な目的と具体的目標を分けることも大切である。特に図または一覧表に描くことで、漏れ が無くなる。
(ア) 主要構成要素の機能を説明する。
(イ) 基本原理・原則に立ち返って説明する。
(ウ) 一般的な理論的原理と具体例の両面を示す。
④ 話題に関連する動きをシミュレーションする。自分の問題としてその中に棲み込み考える。現実 の動きを示し理想と比較する。検討時には極端な状況を考えることで、いろいろな意味が理解で きる。(例:0 にしてみる、極端に大きくしてみる。これが無かったらどうなる。)
⑤ その上で自分の結論を示す。できれだけ、一般的な原則に照らし合わせて説明する。悪さの原因 を追究し、改善案を提示する。
⑥ 自分の議論を客観的に評価する(反論を考える、限界を評価する、代替案と比較する。)
⑦ 実現のための計画案を提示する。会社では実行することが重要。
また、A3用紙、1枚のまとめる時の配置は、以下のような流れが良いでしょう。
文書作成のフローは以下の通りです。