一身で二生を生きる しかし両頭でない
山本七平は
一身にして二生を生きる
ことについて、色々なところで書いています。
しかし、ここで注意すべきこととして
一身両頭にはならない
と言う表現もあります。
そこで、山本七平が、何を求め、何を否定しようとしたかを、昭和の世界を知る人間として、想うことを書き残します。
まず、山本七平が求めたモノは
技術革新でも生き残る人材
です。例えば
「常識」の落とし穴:Ⅲ日本人の「神話」では
活字職人がコンピュータ方式に適応
と言う状況を書き、それと対比する形で
国鉄職員の自殺問題
(新体制に適応できない)
を挙げています。これを見て
一身にして二生を生きる
大切さと難しさ
を書いています。
一方、否定した人罪は
手のひら返しの変節者
です。これは
古くは
明治維新の新政府迎合武士
近くは
戦中まではヒトラー万歳
戦後はヒトラー極悪人論者
への反発です。この原因として
「私」が確立せず借り物の概念を振り回す
例えば舶来上等の発想
を挙げています。
これを、実行する立場で言うと
生活の実感
自分の思考で納得
を実践することでしょう。例えば、小林秀雄は、ヒトラーの著作をキチンと読んだ上で
戦前・戦中・戦後とも
同じ評価「気持ち悪い」
でぶれていません。また、活字職人達も
自己の仕事に徹底したから
コンピュータ化にも対応
できたのでしょう。