詩『手紙には』 シロクマ文芸部お題‘手紙には’
手紙には文字しか書いていなかった
文字が主体なものだから当然なのだが
そうではなく
二枚びっしりと
ボールペンで
ギュウギュウに
所々丸めた線と
二枚目には
一枚目の筆圧の跡が
ボコボコと
目がウロウロする程
文字がひっつめてあっただけだった
このような文字を書く人なのだということと
この文字も
おそらく本来の彼の書く文字ではないのだろう
ということも背中合わせで
手紙には文字しか書いていなかった
それは
ただ痛みを
増幅させたにしか過ぎなかった
それでも
もしかしたら
と