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絵を描くことと料理は、よく似ている

今し方、おせち料理19品を作り終えました。およそ3日間。なかなか大変な作業でした。

おせち料理を作る上で、一番肝心なのが段取りです。これをしっかり練るかどうかで作業効率が全然変わってきてしまいます。年に一度しか作らないものも多くあるので、分量や要点も都度本を開かないで済むように書き出しておきます。

包丁を研ぐ。
やるとやらないとでは雲泥の差です。
買いたての良質な筆とパサパサになった筆の差です。
よく切れる包丁は料理上達の要だと言われていますが、筆も大事だとすごく思います。

まな板仕事では、材料を切る順番などを事前に頭に入れておきます。例えば大根とか蕪とか白くて匂いも強くないものから切って、次に人参や蓮根など、いくつかの料理に使うものは同時に切ってしまいます。その後でややアクや粘りの出る根菜などを切ります。そうすれば作業を終える時まで、まな板も包丁も洗わずに済みます。間違っても途中でお肉とか切っちゃだめです。

コンロ仕事もイメージしておかないとなりません。コンロを長時間占領するもの、短時間だけど付きっきりでいないとだめなもの、などなど事前に把握しておかないと、あとは煮るだけなのにコンロの数が足りない、でも他にやれる作業はない、とか言うのは超タイムロスです。

おせちを作っている間も日々のご飯の支度という任務もあるので、そのことも頭に入れておかないとなりません。特にお昼は作業が被るので、例えば酢の物とかきんとんとか、デリケートなものを作っている時は要注意です。脇で火油散るようなものは作れません。うっかり油ハネでもしたら台無しなので(いちいち作業途中で片付けてもいられないので)、端野菜で煮込みうどんとか、雑炊にしようと、ざっくり頭に入れておきます。

全体に品数が揃ってきたところで、頭の中で出来上がりをイメージします。
その時に、ちょっと華が足りないかなとか、塩辛いものが少ないかなとか思ったら、いくらを買い足してみたり、花ゆず釜に盛ってみようとか考えたりします。最後の盛り付けは大仕事です。生かすも殺すも盛り付け次第といったところです。絵心全開で臨みます。
今、この時点ではまだ盛り付けていないので、ドキドキです。

こうやって色々考えていても、思ったより手こずったり、疲れてつい昼寝しちゃったり、段取り通りには行かないものです。
でも、作業はじめに工程を練って取り組んだおかげで、なんとかこうしてnoteに向かう時間が作れました。

絵の話ですと、私は絵を描くときは作業勝手上、複数枚を同時進行させます。水張りや下地材を塗って描くことが多く、この作業はできるだけ一度にやりたいのです。乾く時間とか、ぼんやり待っていられないんですね。せっかちなのかな。時間は有限だから。切実です。

また、1枚だけに集中していると、疲れたりちょっとよろしくない方向に進みそうになっても、客観視せずにそのまま仕上げようとしてしまいます。そうしてうまく行かないうちに気持ちが離れ、さっさと終わらせよう的な気持ちになってきてしまうのです。当然仕上がりは雑になる。

複数枚同時に描いていると、それがうまく緩衝されると言いますか。
描いていてなんかまずいなと思ったら、別の1枚に取りかかるようにします。そうすると新らしい方は新鮮な気持ちで取り組めて、時間が経って最初の1枚に戻ると、見えなかった歪みや雑な部分が分かって、丁寧に描こうと言う気持ちが再び戻ってくるのです。

絵の具の流用もできていいです。
特にこの色で描きたいとか決めているものはないのですが、やはり好きな色だったり、使いたい色はあって、1枚目を描いていて混色で作った色がいい色だったりすると、別の1枚で使えるところはないか探して使ってしまいます。結果的に同時進行の絵の色調が似てしまうことも多いのですが、修行中の身ではおよそ3枚に1枚はボツになるので、どれか1枚でも完成度の高い絵に仕上がればいいと思って描いています。

まずは段取り
道具は大事
作業は丁寧に
メリハリ
そこに華はあるか

これらは絵にも料理にも共通するとても大切なことです。

そして、大きな違いはコレ。

求められているか
喜んでもらえるか

この先絵を描き続けていく上で、ここが非常に悩ましいところではありますが、3年前より去年より描けるようになってきた自分に、ちょっぴり期待をしているし、いつか自分を喜ばせられるような絵が描けたらと思っています。そんな思いでまた来年も、おせち19品作るよりずっと辛く険しい画業に邁進していきます。

2024年、noteにお付き合いいただき、ありがとうございました。
2025年も、ポツポツ綴らせていただきます。よろしくお願いいたします。

みなさまどうぞ、楽しい年末年始をお過ごしくださいませ。

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