新・パレットクラブ日記 第2回 大島依提亜さん 「小さく描く」
パレットクラブスクール24期・イラスト卒業生コースの通学記録です。過去の授業内容はこちら。
2021年6月20日の講師は、アートディレクターの大島依提亜さん。イラストコースで2回あった授業でも、毎回面白い課題を出してくださった先生だ。
今回の課題は「自分の作風が表現できるぎりぎりの範囲で小さく描いた絵」。後はポートフォリオを持参とのことだった。
卒業生コースでは、デジタルで描いている水彩タッチの可能性を探りたいと思っている床山。どれぐらい小さくなったら画風が判別不能になるのか、とても興味がある。最近受けた仕事で、タッチは違うが2.5×2.7cmぐらいのカットを描いていたので、目安としてまずは一辺3cmの正方形サイズで制作することにした。
制作したイラスト
モノのイラストは、今まで比較的良い評価をもらえることが多かったこともあり、今回もものばかり6点を描いた。模写が多いが、天使の操り人形は元の人形からアレンジを加えたため、他とは少々質が変わってしまっている。
出力サイズが小さいとはいえ、デジタル制作なので、小さいことによる技術的な制約はない。気をつけることと言えば、原寸でどのように見えるか、線の太さやバランスなどをそのつど確認しながら描くという程度だ。
ここで一つ疑問が生じた。大きいイラストをただ縮小した場合と、初めから小さいキャンバスサイズで描いた場合とでは違いが出るのだろうか? 両者に差がないのであれば、私の描き方ではあまりサイズを気にしなくていいということになる。せっかくなので比べてみることにした。
ただ縮小をかけただけだと、主線がつぶれてしまうことがわかった。私の絵の特徴の1つは主線を白く塗り残すところにあるので、小さいキャンバスで描く際には、主線の太さを変えて白さを強調してみた。1辺1cmでも、そこそこ作風が維持できているように見えるのは予想外だった。
持参したポートフォリオより
モノを描くといい、と勧められて描き始めた頃のイラスト。このタッチと陶器との相性はいいのではないかと思っている。サイズは18×18cm。
女性のファッションには自分の服を着せた方がいい、と以前大島さんに言われたため、自分の服で描きためたイラストの一つ。
いろいろな女性を描いた方がいい、という助言も何人かの先生からいただいた。プラスサイズの女性に挑戦したイラスト。
授業と講評
今回の課題は、まったく大島さんの興味から生まれたものだという。デジタルという手法の出現により制作上のサイズは崩壊したが、アナログ制作とはどのような違いがあるのか興味があったとのこと。今回の課題では、アナログで自分の限界にチャレンジすることに意味があるのかも?と思っていたので、デジタルで描いたものも役に立ちそうだとわかり安心した。
床山がいただいたコメントは次の通り。
・(課題)小さいものの方が、ていねいさが増す感じがする。小さいのいいね! グッとくるものがある。
・天使よりも、普遍的なモノの方が魅力が増す。
・(ただ縮小しただけのものとの比較)今回の出題の興味に合う! 研究いいですね。小さく描いたものを、今度はただ拡大して持ってきてみて。
・(コーヒーを飲む女性のイラスト)自分の服を描いたものの方が、今っぽいフェミニンさがある。
・(ぽっちゃりした女性のイラスト)いいね、かわいい。
同じモノでも、小さく制作した方がいい評価をもらえた。描く上での心の持ち方は大きなサイズの場合と差がないように思うが、水彩ブラシでの塗りの表れ方などが違うのだろうか。小さい方が密度が濃いような気はする。
ヨシタケシンスケさんは小さな絵から拡大して仕上げるそうだ。私の絵にも、そういう可能性があるかもしれない。試してみたい。
次回までの課題
大島さんの次の授業は10月。それまでに、それぞれ課題を設定して Instagram に作品をアップしていくことになった。先生からは「1つのものをひたすら描き続けてみては?」と助言をいただいた。うーん、同じものか……。
床山のタッチは硬さのあるものと相性がいいような気がしているのだが、柔らかいものもいい感じに描けるようにしたい。そこで、硬いものから描き始めて、徐々に柔らかいモチーフへ移行していくのはどうかと考えた。
テーマは「硬いものから柔らかいものへ」。先生からもGOサインをいただいたので、Instagram でアカウントを新設して描き始めたところだ。いまのところ、モチーフは宝石から実験器具、戦闘用車両までさまざま。どの対象物でもなるべく同じ心の距離感とテンションで描けるようにしたいと思っている(それが難しいのだが)。
よかったらのぞいてみてください! ↓