【絵本紹介】暗闇に誘われて「きりのなかのはりねずみ」
20代の頃、雑誌を片手に友だちと街へと出かけ
お洒落な雑貨屋さん巡りをするのが好きだった。
世界各国の雑貨を扱う小さなお店たちは
宝箱のようにキラキラした空間で
すっかり時間を忘れることができた。
パリの蚤の市、アンティーク、レース編みと手芸、
東欧雑貨とチェブラーシカ、もぐらのルクテク、
タピオカ入りのチャイ、コラージュアート、
パクチーとベトナム料理、スパイスカレーと
それからお香の匂い。刺激的なキーワードの数々。
全てを吸収したかった。
そうしたカルチャーとの出会いの中で
この絵本に巡り会った。
ロシアアニメーションの巨匠
ユーリ・ノルシュテインの傑作
「きりのなかのはりねずみ」
はりねずみは友だちのこぐまの家へ出かける途中
白い馬に誘われ深い霧の中へ。
道に迷ったはりねずみは、あちこちさまよって
とうとう川に落ちてしまい…。
深い霧の描写は不気味なほどの静けさを感じ、
動物たちの躍動感と主人公の不安な気持ちが伝わってきます。
絵本と併せて、アニメーションもとてつもなく素晴らしいので機会があれば是非ご覧ください。