DAU.ナターシャ / 「おぞましさ」「リアル」「狂気」そして「共犯」
誰もがただならぬ「おぞましさ」に目を見張るであろう。この重々しい暗青色の空間の底に漲る緊張感は何なのか。延々と繰り広げられる酒宴。人目憚らぬ性交。手慣れた残酷な拷問。普通の「演技」なら、何かしら観客の共感を得ようとするはずだが、そこにあるのは、観客を意識していない「行為そのもの」だ。凄まじい暴力とエロスに圧倒された後、冒頭の伏線を拾って話は終わる。そこで観客は思い出す。これは映画なのだ、と。しかしこれは少なくとも、我々が今まで見ていた映画とは根本的に何か異なっている。これは