TANPEN

TANPENは、不定期に更新される短編小説です。文章荒いですけど、まだ駆け出しですので、どうぞお手柔らかに。(ライター:椎楽カンス)

TANPEN

TANPENは、不定期に更新される短編小説です。文章荒いですけど、まだ駆け出しですので、どうぞお手柔らかに。(ライター:椎楽カンス)

最近の記事

いじめの時間(1)

武蔵山中学を休み、半年の月日が経とうとしていた。鈴木正義の一日は正午から始まる。カーテンを開け朝日にしては高すぎる日光を浴びると、すぐにデスクトップパソコンの電源を入れた。 パソコンが立ちあがるまでに、着替えと歯磨きを同時に済ませ、彼は早々とパソコンが設置されたデスクに腰掛けた。インターネット中毒。正義の生活は世間的に見れば社会不適合者のそれに違いないが、彼は世論のように自らの生活を卑下してはいなかった。 自分には自分の居場所があり、自分の考えを持って行動出来ている。

    • ストーン劇場(2)

      「紹介が遅れましたね。私の名前はゴールドマン。ストーン劇場の支配人です。」 ゴールドマンは帽子を取り、丁寧にお辞儀した。 「さぁ、一番前の特等席にどうぞ」 男は促されるがまま、劇場一番前の真ん中の席に座った。ステージに人の気配はなく、劇が始まる様子もなかった。ゴールドマンは男の横に腰かけると、ステージを見つめながら語り始めた。 「ペイナイトはね。支払うという意味の『pay night』ではないんだ。本当の意味は『Painite』、つまりペイン石のことだ。ダイヤモンドよ

      • ストーン劇場(1)

        2005年9月1日、木曜日の夜、男は仕事を早めにあがると真っ先にベーソルトシティへと向かった。足取りは軽く、歩幅がいつもより大きく感じる。自分が軽い興奮状態であることに気づいた。ベーソルトシティは世界的に有名な劇団の多くが劇場をかまえ、定期公演を開いている。男のお目当てはストーン劇場。他の劇団と比べて劇場は小さく、ベーソルトシティの中心街からはかなり外れた、静かな通りに面している。シートの数が少なく、ほんの一握りの人しかチケットを取ることができないという噂だ。どこでチケットが