断片的な記憶。
まともに愛されてこなかったのではなく、愛されようとしてこなかったというのが正しいのかもしれない。
酔っ払うと、感情の蓋がゆるんで暴走する。
自分を大切にしようという気持ちがどこかへ行ってしまう。
すべては人任せ、天任せ。
きっと、それでも大丈夫だよって言って欲しいだけ。
赤ん坊のように甘えてるだけ。
(何にもできなくても愛して欲しい。
存在するだけで愛して欲しい。)
でもわたしの寂しさはわたしだけのもので、世界で、それがあるからこそ味わえた世界観もある。
これまでわたしは見渡す限り果てしない砂漠のなかに、ひとりでぽつんと影を落としていた。
そこに川を引くことも、木を植えることも、本当はなにもかも自由だということに気がついていたのに、その自由さに耐えられなくてずっと孤独でいた。
変化するということは、これまで知らない世界を見るということ。
わたしは新しい世界へ踏み出すのがとてもこわかったのだ。
しかし、いまの目標は豊かさを味わうこと。
砂漠の中にあるオアシスのありがたさに感動するのではなく、ひとつひとつの生命の個性豊かな輝きを認めること。
今回の暴走は、それへと向かう一歩のように思えた。
断片的な記憶を手繰り寄せてみるけど、思い出したってなんの役にも立たない。
朝起きて、何もなかったかのように接してくれる彼の存在がとても有り難く感じた。
おわり。
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