深夜の飯テロ #粒状の総料理長 #毎週ショートショートnote #ショートショート
『……砂糖 大さじ2 醤油 大さじ3 粒状の総料理長 大さじ3 生姜 適量を混ぜていきます』
ん?料理長?料理酒の間違い?
淡々と進んでいく調理過程。
深夜のテレビから流れてきた奇妙な言葉に一瞬ドキリとした。
画面では一口大に切った鶏肉と合わせ調味料を和えている。
ジューーーーッと焼かれる音が部屋に響く。深夜の飯テロ。
そういえば、最近まともな料理を食べていない。実家に顔を出せばいいのだが、それも面倒で、ついコンビニで済ませてしまう。
画面では焼けた鶏肉と野菜を炒めている。夕飯はしっかり食べたはずなのだが、深夜の飯テロには弱い。
軽く…軽くならと自分に暗示をかけながら、夕飯の残りをレンジで温める。肉の魅力には勝てない。
3Dならぬ4D感覚。レンジからいい香りが漂ってくる。冷蔵庫からタレを取り出す。画面では盛り付けられた『おすすめ晩御飯』が映し出されている。
ローテーブルに温めた夜食を置いてから、自家製液状の総料理長を回しかけた。
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