診察室は磯の薫り　#聴診器が海苔　#毎週ショートショートnote

休日なのに病院へ行くのは嫌だったが、明日の会議には出席しなければいけない。

近場で、休日診療の病院を探し
小さな路地裏に町医者を発見した。

受付を済ませ待合室に向かう。

看護師に呼ばれ
俺はふらつきながら診察室へ入った。

イスに座り、医者に症状の説明をする。
ゼーゼーとそれだけで息が上がってくる。

医者に
シャツを上げてください
と言われ、俺はシャツをめくり上げた。

聴診器の最初のヒヤリ感が
苦手だなんて思っていると

ベチョ！ベチョ！

と冷たいうえに、変な音がする。
混乱する頭では理解できない。
後ろ向いてください
という医者の言葉でイスを回転させた。

すると、ほんのり磯の香りがする。
背中では、冷たい聴診器から
ベチョベチョと不審な音。

恐る恐る自分の上半身を見ると
ベットリと塗られた
磯風味の海苔の佃煮。

俺は後ろを勢いよく後ろを振り向いた。
ニヤリと笑う医者の手には
聴診器､､､に海苔が塗られている。

俺は慌てて診察室から飛び出し
入口の扉を勢いよく開けた。

【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか？』お題発表！8/27｜たらはかに（田原にか）

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