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私の絵画作品がどのようにして生まれたのかお話する場所です。
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#ペット

展示が始まります。1/15〜1/20 日本橋三越 内田すずめ特集

「心臓」 パネル・油彩 2018年 内田すずめ 見て描くことを続けてきたのに、「大切なものほど目には見えない」ことに気づいてしまった。 ここ数年、飼っていた鳩の亡骸を描き続けてきた。写真にしか残せなかった身体も、絵に描くことで鳩の存在をこの世に残すことができる。そんな気がしていた。 ただ別れから数年が経った今、再現して残したいという欲求よりも、瞼の裏に浮かんでくる残像こそが描くべき真の姿であるという思いが強くなった。肉体ではなく命の重たさという目には見えないものこ

動物を亡くすこと、描くこと

飼っていた白い鳩が亡くなった。夏の暑い日だった。ケージの中で苦しみのた打ち回っていたのに最後はその気力も無くなったのだろう、穏やかに息をひきとった。 軽くなった亡骸をそっと両手で抱えて、カメラのシャッターを切る。描き残すためだ。描き残す。何故そうするのか。 「亡くなったものをモチーフにすることは、罪ではないのか?」 庭に鳩を埋めた後、撮影した写真を確認しながら私は自問していた。自分が描きたいからという欲求だけで絵にしていいのか。相手は鳩の死体で何も感じないことはわかって