【小説】怪奇探偵 白澤探偵事務所 | 春の山では
人外の探偵・白澤(しろさわ)と、視える助手・野田(のだ)のお話。一部作中の固有名詞に解説がありませんがご了承ください。
(2022年4月3日のイベントで無料配布ペーパーに掲載したお話です)
本編は以下のマガジンを参照ください。
薄靄がかかった山道を、白澤さんの背に続いて歩く。
大きく息を吸って、吐く。早朝の空気はひんやりと冷えてはいるが、息が白く染まることはなく、鼻先が痛くなりもしない。
寒くないということはようやく冬は終わったらしい。
湿った土の匂いがする。