【小説】#3.5 怪奇探偵 白澤探偵事務所 | 見覚えのないプレゼント | 閑話
助手の募集を始めておよそ一年、ようやく採用した野田くんが入社して一か月経つ。勤務態度は勤勉で真面目、生活空間を共にしてトラブルもなく現状は安定している。何より、片付けが得意なのが素晴らしい。料理も上手い。段取りが良いのだろう。これでなぜ職を転々としていたのか、疑問に思っている。
しかし、今日は焦った。
倉庫に眠っていたというポラロイドカメラのフィルムにあった呪文は唱えてしまえばその場にいる人間すべての命を奪うような代物だった。あんなものを贈られたかと言えば記憶にないし、