観終えて振り返ると、意外に邦題も悪くないかも…と:映画評「時の面影」
キャリー・マリガン、レイフ・ファインズ主演のNetflixオリジナル映画。
イギリスの重要な遺跡である「サットン・フーの船葬墓」の発掘秘話…をベースにしたストーリーです。
サフォークの美しい景色、30年代から40年代のイギリスの生活様式、差し込む光を効果的に使った絵、達者な演技陣。
「傑作」というと言い過ぎでしょうが、「良質な映画を観た」って気分にはなれました。
「サットン・フー」の遺跡に関する簡単な知識はあった方がいいですがね。(僕はWikiで調べましたw)
原題は「The Dig」。
「発掘」…ですかね。
「この茫漠たる荒野で」もそうでしたが、Netflixの邦題のつけ方は…と思わなくもないんですがw、見終えてみると、意外にこの邦題も「ありかも」とか思ったりして。
センチ過ぎるっちゃぁ、センチ過ぎるんですけどねw。
抑えた演出・演技の映画ですが、「過ぎ去っていく時の流れの中で、人が生きて、死んでいく」と言うことに想いを馳せさせる作品だと思います。
<以下、若干のネタバレがあります。観る予定がある方は読まないで下さい>
観る前は主人公二人の「中年男女の恋愛物語かぁ」と予想してたんですが、全然違いましたw。(チョット「気配」くらいはあったかな)
「遺跡の発掘」
と言う<人が遺したものにたずさわる>物語に合わせて、
「時の流れの中で、去っていくことが定められている人の想い」
みたいなものが、病によって幼い息子を残していかなければならないヒロインと、「遺跡」の発掘に絶対的な自信がありながら、大学を出ていないがために、発見の栄誉を得ることができない主人公の人生から浮き上がってきます。
発掘をするのは栄誉のためなのか、名を残すためなのか。
そう妻から突きつけらた主人公が「発掘」への想いを取り戻すシーンや、「死」を恐るヒロインに、人の営みの意義を主人公が語るシーンにはグッときます。
洞窟の壁の手形から続いている。私たちもその悠久の時の一部です。だから…消え去るわけではない。
そしてラストの抑えに抑えた「別れ」のシーン。
いやはや…。
「The Dig」(発掘)には、栄誉も名も失われていた「ジョン・ブラウン」と言うアマチュア考古学者の「発掘」と言う意味もあるでしょう、
彼の名が、ヒロインの名と共に遺跡の歴史に残ることは喜ばしいこと。
でもその栄誉そのものが「目的」ではないのだ、と言うのが、本作の「深み」でもあると思います。
#映画評
#Netflix
#時の面影
#the_dig
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?