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長期的にはみんな死んでいる:映画評「アイリッシュマン」
ようやく見ました。
2日間の通勤時間+昨晩…と分割して。
スコセッシには怒られそうですがw。
アイリッシュマン
「素晴らしい出来」なのは確かです。
「ジミー・ホッファ殺害」をピークとしながらも、主人公たちの「その後」を丁寧に描くことで、生き残ったモノの<無惨さ>も曝け出しています。
関わった者たちが、死んだ者も、生き残った者も、決して安楽な人生を送ることのない世界。
「どこに<point of no-return>があったんだろう」
そう思いながら見終えました。
(そういや、一人だけ、「みんなに愛され、老衰」ってのがあったかなw)
「ゴッドファーザー」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」が、叙事詩的な物語でありながら叙情性をも感じさせるのに比べると、本作はズッとドライな肌合いがあります。
スコセッシやわ〜。
ホッファを演じるアル・パチーノ、主人公をこの世界に導くボス役のジョー・ペシ。
素晴らしい演技。
まあ楽しそうに演ってます。
こうなると「道先案内役」のデニーロはチョット損な役回りになりますなw。
特殊技術での「若返り」もお見事。
ただ「諸手を挙げて」かと言われると、そうでもない。
やっぱり「若い頃」の演技には若干の違和感を感じます。
それは「見た目」じゃなくて、「動き」。
愛嬌と野生味が同居するデニーロのアクションには、体の中に秘めた<熱情>が不意に吹き出すようなエネルギーを感じさせられたものですが、そういうのはヤッパリ落ちてるかなぁ、と。
ジョー・ペシも。
ただまあ、これは「彼ら」だから求めちゃうのであって、普通に見てたら、全然分かんないレベルではあると思います。
どの年代の演技が「素」なのか、分かんなかったですから。
この映画を「劇場で見てほしい」というスコセッシの希望はよく分かります。
大スクリーンで3時間半拘束されてw観たら、叙事詩性も無惨さも、より迫ってきたのではないかと思います。
…思うんだけど、多分劇場公開だったら、僕は観なかったかもw。
3時間半ですからねぇ…。
それにNetflixじゃなかったら、こんな出来上がりを認めてくれたかも、って感じもあります。
シャープな画面とカットで、全然退屈しないんですけど、そりゃ「マーベル映画」とは全然違いますからね、こりゃ。
「大人の映画」
一言で言えば、コレかな。