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ストーリーに新味はないけど見入っちゃうところが演出力:映画評「ザ・キラー」
相変わらずNetflixオリジナルにやられておりますw。
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デヴィッド・フィンチャー監督とマイケル・ファスベンダー主演のコンビによる、冷徹な暗殺者の復讐劇。
パリでの暗殺に失敗した主人公は、そのせいで妻が襲われたことを知り、犯人を追い詰めて行く…。
どっかで聞いたような話ですし、実際展開そのものは予想通りです。
パリでの暗殺の失敗。
隠れ家にいた妻への暗殺者の襲撃
仲介者の弁護士への拷問
暗殺実行部隊への復讐
クライアントとの対峙
「こういう話の場合、こういう段取りかな」
ってのをそのまま踏まえています。
じゃあ、退屈じゃない?
…いや、それなのに見入っちゃうところが、この作品の凄さ。
カメラ、カット、脚本、演技、音楽…
「演出力」の高さをつくづく思い知らされますね、これは。
デヴィッド・フィンチャー様さまですわ。
物語の進行に重ねて主人公の独白が続くのですが、その内容は仕事(暗殺)の段取りや心情、人生哲学っぽいものが大半で、主人公の心情や動機はほとんど語られません。
定型的な展開が続きながらも、主人公がどう思ってるのかは想像するしかない。
作品の低音として流れる緊迫感の多くはココに依ってるんじゃないかと思います。
フィンチャーらしく、
「深読みしようと思えば、けっこう深く…」
って感もあります。
ま、個人的にそっちには踏み込まないようにしましたが。
作中、一番緊張感が高まるのはティルダ・スウィントンとの対決シーン。
NYのレストランでの二人の会話のシーンにはヒリヒリしっぱなしでした。
フィンチャーの演出力、脚本、そしてマイケル・ファスベンダーとティルダ・スウィントンの高い演技力。
「映画やわ〜」
って感心させられました。
主人公のテーマ曲はTheSmithなんですが、この使い方の妙と、なんとも言えない違和感にもグッと来ます。
こう言うのはセンスなんでしょうね。
派手な銃撃戦も爆発もありませんが、重厚感がありつつ、テンポが良くて飽きのこないエンタメ映画に仕上がっています。
さすがです。
フィンチャーとNetflixの契約はまだ何作かあるはず。
楽しみやわ〜。