書記が数学やるだけ#45 ユークリッドの互除法と連分数の図解-1
小ネタとして,題通り「ユークリッドの互除法」と「連分数」の図解を試みることにする。今回は基本事項について扱い,次回東大の入試問題の準備とする。
問題
約分をする機会はたくさんあるが,これほど大きい数が約分できるのだろうか,単に約数を探そうにも見つからない。あえて(1)は即答できるようなものにしたが,「ユークリッドの互除法」と「連分数」を知っていると(2)も(3)も機械的に約分できるようになる。
ルート2については唐突感があるように思われるが,連分数を見ていくことでその関係性がわかると思う。無理数であることがポイントである。
公式
2つの自然数の最大公約数を求める方法として,ユークリッドの互除法が広く知られている。
なぜユークリッドの互除法がうまくいくのか,図解するとわかりやすくなると思う。幾何学的には,正方形による長方形の分割に該当する。
1段階ずつ見ていくと,次のようになる。
これで割り切れた。ユークリッドの互除法が終了したことに対応している。
さて,連分数についての話題に移る。
連分数を作るには,整数部分と小数部分に分け,小数部分の逆数を分母に持っていき,その中で整数部分と小数部分に分け,…を繰り返す。式をよく見てみると,ユークリッドの互除法に対応していることがわかる。
連分数とユークリッドの互除法の対応関係を見てきたが,これは有理数でいえる一般原則である。では,ルート2のような無理数ではどうかというと,連分数展開が終わることはない。
解法
(1)は既に例示したので(2)から。高校入試でも約分が単体で出ることもある。ユークリッドの互除法で最大公約数を求めて,分母分子を最大公約数で割ると既約分数になる。
これを連分数展開でやると以下のようになる。まずは連分数の形にする。
そのあと下から通分していくと,たしかに約分できている。
大学入試での約分の問題。ここまで来るとあからさまにユークリッドの互除法か連分数展開が浮かぶかどうかにかかってくる(しかもすぐに終わる)。
では無理数の連分数展開をしてみる。
ルート2を連分数展開すると,同じ操作の繰り返しに至る。つまり無限に続くということである。
これで基本は一通りさらえたので,次回はこれをもとに東大の問題を解説する。
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