東洋医学の方剤#8 補益剤
重要な方剤
四君子湯/補中益気湯/四物湯/帰脾湯/八珍湯/六味地黄丸/炙甘草湯/八味地黄丸
補気剤
・四君子湯
補気剤の基本である。人参が主で,大補元気し脾気を補う。白朮は健脾燥湿に,茯苓は健脾滲湿にはたらき,脾運を促進する。甘草は益気調中にはたらく。六君子湯はこれに和胃降逆の半夏と生姜を足したものである。
→附方
異功散/保元湯/七味白朮散
・六君子湯
→附方
香砂六君子湯/楂麹六君子湯/黄連六君子湯/柴芍六君子湯/帰芍六君子湯
・補中益気湯
主薬は黄耆で,補中益気や升陽固表にはたらく。人参,白朮,甘草,陳皮は健脾により黄耆を補佐する。柴胡と升麻は,黄耆の升陽を補佐する。当帰は補血にはたらき,他薬の効能を補佐する。
→附方
挙元煎/昇陥湯/升麻黄耆湯
・人参蛤蚧散
→附方
人参胡桃湯
補血剤
・四物湯
補血剤の基本である。熟地黄は滋陰補血に,白芍は斂陰補血に,当帰は補血活血に,川芎は活血行滞にはたらく。
→附方
聖癒湯/当帰生姜羊肉湯/桃紅四物湯
・当帰補血湯
→附方
当帰補血合甘草乾姜湯加五味子・白蜜
気血双補剤
・帰脾湯
心脾両虚に対する方剤である。人参,黄耆,白朮,甘草,生姜,大棗で補脾益気し,当帰で補血し,茯苓,酸棗仁,竜眼肉で養心安神する。遠志は心腎交通に,木香は理気にはたらく。加味帰脾湯はこれに柴胡と山梔子を加えたものである。
→附方
加味帰脾湯
・八珍湯
補気剤の四君子湯と補血剤の四物湯の合方であり,気血両虚に適する。これの派生系である十全大補湯や人参養栄湯がよく用いられる。
→附方
八珍益母湯/十全大補湯/人参養栄湯
・泰山磐石散
→附方
胎元飲
補陰剤
・六味地黄丸
腎陰虚に対する基本方剤である。熟地黄が主で腎を滋陰し,山茱萸と山薬と合わせて脾肝腎の滋陰にはたらく。沢瀉,牡丹皮,茯苓は湿濁を除き,清熱にもはたらく。
→附方
都気丸/麦味地黄丸/知柏地黄丸/杞菊地黄丸
・寿胎丸
→附方
補腎安胎飲
・二至丸
→附方
桑麻丸/駐景丸
・一貫煎
・大補陰丸
→附方
両地湯/清経散/鼈甲養陰煎
・石斛夜光丸
・七宝美髯丹
・虎潜丸
・補肺阿膠湯
→附方
月華丸
・河車大造丸
・加減復脈湯
→派生
救逆湯/一甲復脈湯/二甲復脈湯/三甲復脈湯/大定風珠
・左帰飲
→附方
左帰丸/補水湯
気陰双補剤
・生脈散
・炙甘草湯
炙甘草が主で益気健脾にはたらき,人参と大棗がこれを補助する。生地黄,麦門冬,阿膠は陰血滋養し,麻子仁は潤腸通便にはたらく。桂枝,生姜,酒により温陽通脈させる。
・参苓白朮散
→派生
一味薯蕷飲/珠玉二宝粥/慎柔養真湯
→附方
啓脾湯/資生丸/扶中湯
補陽剤
・八味地黄丸
六味地黄丸に桂枝と附子を加えたもので,腎陽を鼓舞させて補う,腎陽虚に対する方剤である。牛車腎気丸はこれに牛膝と車前子を加えたもので,利水作用を持つ。
→附方
牛車腎気丸/十補丸
・右帰飲
→附方
右帰丸/内補丸/莬絲子丸/固精丸/贊育丸/青娥丸
・亀鹿二仙膠
→附方
贊化血余丹/二仙湯/潜陽丹
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