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副業転職のすすめ | ニューノーマルにおける採用プロセスの変化について考えてみた
Offersを通じて人材循環型社会を実現したい鈴木です。
最近は、週イチペースでリモートワークやHR / 採用関連のオンラインイベントに参加させていただいたり、Yahoo!ニュースや日経新聞、TVなど様々なメディアで取り上げていただいたりしています。ありがたや🙏
複業先のoverflowが「バンキシャ!」の「コロナ禍での新しい生活様式」特集で取り上げられました!
— にしたく|Adobe Design Jimoto (@takuyanishi24) May 10, 2020
自分も今まで3回くらいしかオフィス行ったことないw https://t.co/cp3W0tker0 pic.twitter.com/9tV7vRIfKP
ところで、私が代表を務めるoverflowではハイクラスエンジニア・デザイナーに特化した副業・転職の総合採用サービス「Offers」を運営しています。そうした経緯もあり、採用戦略について議論することも多いので、今回は「これからの採用戦略」について自分の考えをまとめておこうと思います。
採用のBefore / Afterがどうなるか考えてみた
結論から言うと、以下のように変化すると考えています。その理由を説明していきたいと思います。
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まず、現実世界の変化を整理したいと思います。
先日、緊急事態宣言の延長が決定されました。各県によって対応は異なりますが、少なくとも首都圏は5月末まで現状維持が続くでしょう。また、6月以降に緊急事態宣言が解除されたとしても、すぐにかつてのような距離感で仕事ができるかというと、感染リスクのことを考えるとクエスチョンが浮かびます。
正直、会社のメンバーにも会いたい、みんなでランチ行ったりご飯に行ったりしたいです。でも、集まってしまったことで大事な仲間の生命を脅かしたり、その大切な家族にもリスクをおわせてしまう可能性がある。そう考えるとコロナ前の状態に戻るという意志決定は簡単にはできません。
そこでコロナによる前提条件の変化を以下のようにまとめます。
・ソーシャルディスタンスを意識した新・生活様式(スマートライフ)
・可処分時間がオフラインよりオンラインがメインになる
・経済の不透明さから、企業ではヒトへの投資がシビアに見られる
・人材は売り手市場(求職者優位)から買い手市場(企業優位)へ
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自明ですが、リーマンショックでは求人倍率は減少し回復までに5年程度を要しています。(有期雇用は微減のあと、上昇)
売り手→買い手市場に変化することで、採用は「ハイペース→ローペース」「量→質」といった転換が起きるはず。
ということは、バタバタとした足元業務が減り、投資対効果と施策をゆっくり分析 / 検証できる時間が生まれるとも捉えられます。新しい施策を試す絶好のタイミングになるかもしれません。
では、採用プロセスにはどのような変化が起こるのでしょうか。採用ファネルの代表的な施策を①〜④で区切り、それぞれ考察します。
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①ブランディング / 広報
これまで通り、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に対する価値観フィットは重要です。これらがブランディングや広報活動におけるコアコンセプトであることは変わらないでしょう。
そのうえで今後より重要視されるのは、「本当のところ、実際どのような環境で、どのように働いているのか」というfactを伝えることではないでしょうか。
例えば、以下のようなfactをできるだけ具体的に明示したり
・時間差通勤できるか
・リモートに関するルール(基本ok、許可性、回数上限、など)
・コミュニケーションの工夫やルールはあるか
・リモート増加に対して、透明性をどのように担保しているか
・メンタルケアについてはどのような対策を行っているのか
・評価基準はどのような理念、ルールに基づいているのか
オフィスの空間についてもわかりやすく伝えなければいけなくなるかもしれません。
・人口密度が多いエリアか
・高層ビルか、低層ビルか
・執務室の席の間隔はどれくらいか
・換気に関するルールはあるか
・どれくらいの人数が出社するのか
・どれくらいの頻度で集まるのか
具体的な各論を示したうえで、対策を講じている会社に期待と安心、そして好感が集まると考えます。
②マーケティング
オフラインで存在していたマーケティングチャネルは、すべてではないにしろいくつかはオンラインへの移行を余儀なくされると考えます。というのもこれから先、再び大規模感染が起きた際のリスクを考えると、オフラインだけですべてを完結させるスタイルはリスクがあるからです。
ちなみにFacebookやGoogleは、すでに今年末まで在宅勤務を延長する、Twitterは永久的にフルリモートと発表しています。これは経営者の判断として完全に同意できる方針です。メンバーの健康を守ることを考えると、少なくともそれくらいの期間は慎重になるべきでしょう。
以下に挙げるような、カジュアルなイベントやミートアップ、オフライン広告などは減っていく傾向になると考えています(広告単価の減少によりスポット的に逆張りが効く可能性はあり)。
・新規採用候補者獲得、既存候補者のエンゲージメントなどを含めたカジュアルなイベントやミートアップ
・接点づくりを目的とした大規模なカンファレンス
・ブランド認知向上を目的としたオフライン広告(OOH、タクシー広告、etc...)
逆にSNSやコンテンツなど自社の透明性を認知してもらう、オンラインへの投資比率が増えていくのではないでしょうか。
③採用チャネル
現在の代表的な採用チャネルは、
・求人媒体
・エージェント / 人材紹介会社
・ダイレクトリクルーティング
・リファラル
・SNS
などがあります。
この「採用チャネル」については本来であれば1記事かけるくらい深く考えられる項目なので、じっくり書きます。
● データソース
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オフラインでの転職活動が難しくなれば、必然的にオンラインに蓄積された情報が重要になります。オンライン上での振る舞いや、アウトプット / 成果物、リファラルデータ、実績、レビューなどが採用の重要な情報になり、判断の糧になってくると考えています。
そのようなデータを保有しているチャネルや媒体は、サービスとしての価値が上がるでしょう。逆に「レジュメのみ」のような静的かつ自己申告データの価値は相対的に下がる傾向になるかもしれません。
● 運営またはサービスがリモートに適応しているか
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求職者、仲介事業者(サービス)、雇用主となる企業、それぞれのリモートに対するリテラシーは重要な指針になると考えます。
なぜなら、対面でのキャリアカウンセリングなどオフラインで担保していた採用体験の満足度を維持するのが難しくなるからです。
今後、採用媒体、エージェント、(ダイレクトリクルーティングサービスを含む)仲介事業者は、運営者自身がリモートでの人材活用に長けているなど、ハンズオンでサポートできることが価値につながるのではないでしょうか。
● 候補者と中長期的なエンゲージメントを持てるか
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冒頭の通り、焦らずじっくり自社に会う求職者を選んでいけるチャネルが求められます。採用はタイミングが命です。「一度コンタクトをとって終了」では機会損失を招きます。
プラットフォーム上にコミュニケーションを取り続けられる機能を持ち、継続的にエンゲージメントを保てる、いわゆる「タレントプール」の価値が今後一層高まると考えます。
④選考フロー / アトラクト
求職者と企業、双方にとってフィット感を確認する機会は必ず必要です。これまでは面接を含むランチなど、カジュアルに会話ができる場を用意することも多かったですが、はたして感染のリスクを犯してまでするべきかは悩むところ。私が候補者の立場なら、リモートの方がうれしいです。
面接で100%の見極めは不可能!だから、まずは一緒に働いてみる
そもそもの前提として、これらすべてを「面接で見極める」から難しいのかもしれません。
数回会うコミュニケーションで、長期コミット前提の正社員を採用するこれまでのスキーム自体が実はリスクが高く、採用のあり方自体を見直す局面に来ている気がしています。
働き手としても、自分の時間を投資するのであれば「会社の中身を全部見てから決めたい」というのが本音でしょう。であるとすると、副業を通じていくつかの企業に属し、それぞれのコミュニティを体感したうえで、自分の身の振り方を決めるのはとても自然な流れだと思います。
この手法をoverflowでは「副業転職」と呼んでいます。
・一緒に働いてみて、双方の相性を見た上で今後を決めていく
・フルコミットのタイミングを後ろにずらす
が実現できれば、NewNormalにおけるメリットを得られるはずです。以下のようにコミット時間がグラデーション化していくイメージです。
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私たちoverflowで働いているフルコミットエンジニア5名は、全員週1-2回の副業から始め、平均3ヶ月をかけてゆっくりとフルコミットへ転換しています。もちろんエンジニア以外もそのスタイルが主流です。
主体性を持って事業をリードしてくれるメンバーが多く、起業してから3年経ちますが、退職に至ったケースはもまだ1件もありません。副業のままプロジェクト単位でコミットしてくれるメンバーも多数います。
また、コロナが始まってからOffers経由で採用に成功している企業では、この副業転職を前提に利用していただいています。なかには利用開始から1週間で2名採用に至っているケースもあり、現在の求職者ニーズにフィットした手法であるという実感があります。
エンジニア採用1週間でできた!#エンジニア採用するならOffers
— YutaUchiyama (@yutmpo) May 13, 2020
その食べチョクですがOffersさんにめっちゃ支えられておりますっ🥺ありがとうございます〜!
— ひらしゅん 食べチョク🍏とパデル🎾 (@hirashunshun) May 8, 2020
この方法のメリットは、実際の仕事を通じて双方がフィット感を確認できること。企業側は職務経歴書だけでは確認できない実務面での能力を把握できますし、求職者も自分が活躍できる場があるのかを探す時間に充てることができます。
「うちは、副業からスタートさせてもらってます」この一言を勇気を持って候補者に言えるかが出発点だと思います。
副業転職のメリットを簡単に説明すると、こんな感じです
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この副業転職では、例えば3ヶ月契約であれば従来の40倍の時間をかけて選考を行います。もちろん、副業ですから求職者への賃金は発生しますが、それはどんな仕事でも同じこと。
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一方で、費用が高額になりやすいエージェントフィーや人事担当者の人件費を抑えることができるため、採用コストはおおよそ1/4に抑えることができます。
私はそのような採用及び経営スタイル(フレキシブル経営)があらゆる会社にインストールされることで、雇用の流動性が高まると考えています。
そして、将来訪れるとされる日本の労働人口減少問題を、人材を通じたDXという機能で解決したいと思っています。
とはいえ、「いざやってみよう!」と思っても副業の受け入れ方 / 活用の方法がわからない、という方も多いと思います。
そこで弊社では、以下のようなコンテンツを用意したり、
自社の知見や過去のケーススタディをもとに、カスタマーサクセスチームが副業メンバーの組織構築をハンズオンでサポートしています。
また、希望に応じて「副業チームの構築と活用」に関する社内勉強会やセミナーなども開催させていただきます。
長々となりましたが、端的に言うと「副業転職」をwith / Afterコロナ時代の一つの答えとしてより多くの企業にインストールすることで、経営リスクの最小化と、働き手のチャンスの最大化を実現したいと考えています。
はやく「良い採用ができた」と言う声がたくさん聞きたい!👂
ありがとうございました🙌
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