思い出「節分・菓子まき」
【謎の祭り】
6歳の時。
2月2日じゃないけど
節分のお祭りがあった。
俺の住んでいる三郷団地で
豆まきならぬ
お菓子まきが行われる事になった。
確かこの日は
日曜日の午後。
俺は
父親に連れられて
会場に向かった。
この時まだ
何が起こるのか
何も知らされてなかった。
ただ父親に
「一緒にお祭りに行こう!」
とだけ言われてついて行った。
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【夢の前ぶれ】
会場は
2階建ての商店街が並ぶ場所。
そこには
親子連れが
野外ライブ会場みたく集まっている。
俺は
この会場に到着したら
この人ごみにビックリした!
そして父親に
「これからここで何が始まるの?!」
と聞いてみた。
そうしたら
「これからお菓子の雨がここに振る!」
「それを根こそぎ取りに来た!」
そう答えていた。
俺は
「そんな絵本で見た夢の様な事が
本当にこれから起こるのだろうか?」と
半信半疑だ。
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【夢の仕掛け】
しかし商店街の
1階の屋根の部分を見たら
何やらお菓子の段ボールが
たくさん準備されている。
俺は
「そこの1階部分の屋根の上から
お菓子をまくのか」と理解した。
この時
「マジでお菓子の雨が降ってくる!」
その事が現実味を増し
歓喜して喜んだ!
しかし
周りを見渡すと
背の高い大人達であふれかえっている。
この状況でお菓子を大量にとるのは
至難の業だと感じた。
そして俺は
ある名案を思い付いた!
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【戦闘準備】
その名案とは
父親に肩車をしてもらって
お菓子を取る!
我ながら凄く良い考えだと思った。
さっそく父親に
「肩車してお菓子を取る!」と
ねだって肩車をしてもらった。
そして周りを見たら
み~んな肩車をしてもらっている。
俺は
この時「白熱したバトルになりそうだ!」
そう感じて
鼻息を荒くした!
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【戦闘開始】
お菓子まきの前に
市長の良く解らない挨拶があり
お相撲さんが出てきた。
俺は
お相撲さんを
生まれて初めて見る!
そのお相撲さんが
お菓子を投げてくれる事に
凄くワクワクした!
そして節分の掛け声と共に
お菓子まきが始まった。
そのお菓子は
本当に雨あられの様に降ってきた!
もう
顔や体にお菓子が当たって
痛いやら嬉しいやらで大興奮!
俺は
お菓子が当たる痛みなんて感じず
必死にお菓子を集めてた。
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【羞恥心無し】
集めたお菓子は
父親が
どんどんレジ袋に入れて行く。
この時
もうお相撲さんなんてどうでも良かった。
ただひたすらに
お菓子をキャッチしていた。
しかし
思ってた以上に大量に取れない。
でも
ふと下を見たら
お菓子がいっぱい
地面に落ちてるではないか!
俺は
すぐ父親から
肩車を下ろしてもらった。
そして地面のお菓子を
猿が拾い食いする様に集めた!
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【お菓子の雨】
こうして我も忘れて
地面にあるお菓子を必死に集めていく。
俺は
大量にお菓子が取れて
超ご満悦状態になった。
周りを見ると
同い年位の子供達も
地面のお菓子を拾っている。
それでも拾いきれない程の
お菓子がばらまかれてきた。
ほとんどのお菓子は
ポテチサイズの物が多く
大きい袋詰めの物は
たまに降ってくる。
チョコレートも降ってきて
地面に叩きつけられ
ボロボロに砕けていた。
俺は
そんなの関係なく
体中に当たるお菓子の痛みを忘れて
必死に取りまくっていた。
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【死ぬまでお菓子】
そして
お菓子を全部まき終わったのか
お相撲さんが退出していく。
俺は
それでも地面にあるお菓子を取り続けた。
そして
地面に完全にお菓子が無い事を確認し
やっと気が済んだ。
この時取れた量は
レジ袋3袋分。
「もうこれで俺は
毎日死ぬまでお菓子を食べられる!」
超感激だった。
この後
家にお菓子を持ち帰った。
しかし
このお菓子を母親が没収してしまった!
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【人生設計】
家に到着したら
母親が速攻お菓子の袋を
父親から取り上げた。
そして
「ゆたかに預けておくと
1日で全部食べちゃうからダメ!」
そう言われて没収されてしまう。
この時
お菓子に埋もれて過ごす人生設計が
一気に破綻した。
そして悲しくなり
またメソメソし始めてしまう。
お菓子はその後
チビチビ俺にくれていたが
晩酌のおつまみにもされていた。
そのせいで
1週間もたたずに
お菓子を食べつくされてしまった。
本当は
俺1人で全部食べたかったのに!
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