思い出「アメ横のクソガキ」
【唐沢宝石店】
18歳の時。
アメ横のセンタービルで
アルバイトをしていた時の事。
俺は
ここに店舗を構えていた
「唐沢宝石店」というお店で
働いていた。
このお店には
千円台から数百万円の宝石まで
様々な宝石や貴金属を販売していた。
このお店で働いていた人は
70歳の唐沢社長と
24歳の奥山さんという女性と
俺の3人だった。
非常に小さなお店で
敷地面積は
5坪しかないお店。
それでも凄くきらびやかな宝石が
たくさん置いてあり
豪華なお店に見えた。
ある日
ここで働いていた奥山さんが
カラオケで外国人の歌を歌うらしく
店の中で歌って練習し始めた。
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【宝石ダンス】
普通店中で歌を歌うのは
どう考えても変だ。
でも午前中は
お客がほとんど来ないので
普通に歌を歌っても平気だった。
俺は
それでも店中で歌の練習をする事に
やっぱり変だと感じてしまう。
しかし奥山さんは
ノリノリでダンスまで踊りはじめる。
それを見ていた俺も楽しくなってきて
店中で歌って踊っているのに
「こんなお店も良いな」と
納得してしまった。
そして奥山さんがある時
その歌を評価してくれと言ってきた。
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【女は愛嬌】
しかし俺は
歌の事もダンスこの事も全く無知だ。
なのでとりあえず
「人を心をつかみ楽しい気分にさせる
素敵な歌と踊りです!」
と精一杯の誉め言葉を伝えた。
そしたら奥山さんは
凄く喜び
思いっきり可愛い笑顔を出す。
このとき俺は
「やっぱ女性の笑顔と愛嬌は
男にとって凄い癒しになるんだな」
と改めて実感できた。
更に
だから男は
「女性に簡単に騙されるんだな」
とも改めて実感できた。
唐沢宝石店は
そういう
へんてこなお店だった。
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【ヤクザな客】
ある時このお店に
珍しい客が来店した。
その客は
ヤクザっぽい客で
100万円以上するオパールを
現金で買うという。
しかしこの時
店内にの従業員は
俺1人しかいない時間帯だった。
俺は
店長の唐沢さんに
きつく言われていた事がある。
それは
「君はまだ若いから
高額な宝石は販売しちゃダメ!」
そう言われていた。
なのでその客に
「まだ高額商品の販売は
俺が売る事を許可されていないです」
そう伝えた。
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【未成年】
そうしたら
そのヤクザっぽい人が
俺をじろじろ見始める。
そして
「まぁそりゃそうだろうな」
と一目で納得されてしまった。
どうやら俺は
誰が見てもまだクソガキっぽくて
社会的地位が凄く低いと判断されるみたいだ。
この事実は
今すぐどうにもならず
納得するしかなかった。
なんかこの現実を解ってしまい
ちょっとショックを受けた。
俺は
この後「ショボ──(´・ω・`)──ン」となってしまい
安価なトルコ石ばかり販売することにした。
「どうせ俺は
社会的地位がない子供ですよ~」と
いじけてしまう。
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【最後の目標】
このお店には
銀製の懐中時計が11個あり。
その懐中時計は
どれも50万円以上する。
でもこの懐中時計は
どれも何だか汚い。
そこで俺は
この懐中時計の1つをシルクの布で磨いてみた。
そうしたら
磨けば磨くほど凄く光りだしてくる!
俺は
磨いた後の光方が凄すぎて
銀の懐中時計磨きに
毎日夢中になってしまった。
俺は
もうすぐデニーズに就職する為
この店をやめてしまう。
なので
このお店を辞めてしまう迄に
この銀の懐中時計を
全部磨ききろうと目標を立てた。
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【お祝い】
俺は
暇さえあれば
銀の懐中時計を磨いていた。
そのかいあって
この会社を辞めるまでに
11個の懐中時計を磨ききる事が出来た!
そして完全な自己満足に
超ご満悦になれた。
でも
この鏡みたいに磨きこまれた銀の懐中時計を
店長の唐沢さんが見て
凄く喜んでくれた。
そこでご褒美に
「就職祝いを買ってあげるよ」
と言ってくれた。
その日の帰り道
店長の唐沢さんと一緒に
近くにあった松坂屋に向かった。
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【赤いネクタイ】
そのまま俺は
店長についていき
到着した先は
ネクタイ売り場。
店長は
ここで好きなネクタイを買って良いと言う。
俺は
「ネクタイよりゲームソフトの方が良いな」と
ちょっと思ってしまった。
でもそれは
表情に一切出さず
今目の前にあるネクタイで
1番好きなネクタイを選んだ。
俺は
赤色が好きだから
赤いネクタイを選び
買ってもらえる事になった。
興味がないネクタイといえど
俺の中で1番ほしいネクタイを手に入れ
なんだか凄く嬉しくなってしまう。
何より
店長のお祝いの気持ちが
物凄く嬉しい!
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【七五三】
この事を奥山さんに伝えたら
次の日
買ってもらった赤いネクタイをして
スーツで来いという命令が下った。
俺は
凄く恥ずかしかったが
翌日スーツでバイト先に行ってみた。
そして
その姿を見た奥山さんは
俺の姿を見るや否や大爆笑を始めた!
「まるで七五三みたい!」
「ァ '`,、'`,、 (ノ∀`*) '`,、'`,、'`,、」と。
店長の唐沢さんも
「後で千歳飴買ってきてやるよ」と
俺をからかってくる。
俺も自分の姿を見て
ガキっぽいのが何となく解っていたけど
やっぱり恥ずかしい。
奥山さんと店長の大爆笑は
その後しばらく続き
営業中も俺の姿をチラ見しては
(*-艸・*)クスクス 笑われてしまった。
「もう唐沢宝石店に
スーツでなんて行かない!(゚Д゚)」
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