思い出「本当の将棋の遊び方」
【将棋の始まり】
9歳の時。
俺は、父親に将棋を生まれて初めて教わった。
最初は、全然ルールを覚えられず何日もかけて覚えて行った。
多分、1週間位かかったと思う。
食事をし終わったら、父親と将棋の特訓をした。
毎日1時間位将棋をやって、だんだんルールを覚えて行った。
その後は、アニメを見たいから将棋をやめてアニメに集中してしまった。
実は、俺は将棋に全く興味が無かったが、父親に強制的に覚えさせられた。
父親はきっと、将棋を覚えれば一緒に遊べると感じたのかもしれない。
こうして毎日俺は、将棋の特訓をさせられていた。
そして1週間くらい続けたら、やっとルールを覚える事が出来た。
この頃、学校でも将棋が出来る子がかなり増え始めていた。
その中で、俺だけ将棋が出来ない状態だった。
なので、強制的とはいえとりあえず覚えてみる事にした。
そしてルールを覚え、学校で将棋をやったらボロ負けする。
まだルールを覚えたてだから仕方ないが、凄く悔しい。
【不要な飛車角】
俺は、学校で将棋をやっても勝てないから父親と特訓をした。
そして、父親と何度も将棋をやっても勝てない。
俺は、この頃凄く泣き虫で、父親に将棋に負けると悔しくて泣いていた。
そんな日が続き父親は、毎回負けると泣く俺を見て呆れていた。
ある日、父親と将棋をやる時、飛車と角を俺にくれた。
父親は、飛車と角無しで勝負してくれると言う。
そして結果、これでもボロ負けしてしまった。
俺も少しは、戦略を練っていたのだが、全く歯が立たない。
また俺は、泣き出してしまった。
でも、何度もやればきっと勝てるようになると感じて続けて勝負する。
でもどんな戦略を立てて挑んでも、何度やっても勝てない。
将棋の奥深さが、ブラックホールのように思えた。
当然学校で勝負しても勝てない。
どんなに必死に戦略を立てても勝てなかった。
俺は、みんなの脳みそが異常だと感じる位だった。
【終わりの先にある事】
ある時、廊下で将棋をやっている所に1人の上級生がやってきて見ていた。
その上級生は「小野君」と言う人だった。
俺は、いつもの調子で完全に負け試合に持ち込まれてしまった。
そして俺は、半べそ状態でもう負けだから辞めると言い出した。
そしたら小野君が変わってやると言う。
俺は、その小野君に代わってもらって勝負を見ていた。
もう完全に負け勝負なのに、どうするんだろうと不思議だった。
そうしたら、完全に負け勝負の状態から勝ってしまったのだ。
俺はびっくりして小野君に何で勝てたのか聞いてみた。
そうしたら、相手の心を読むんだと言っていた。
自分が駒を動かす時、相手の顔を見れば気持ちが解ると言う。
この頃の子供は、まだまだ単純でスグに顔に出てた。
特に俺は、その傾向が強かったらしい。
俺はこの時、将棋は心理戦が必要な事を学んだ。
そして次の勝負から自分の駒を動かす時は、変顔をしてみる事にした。
この作戦で相手を笑わせる事は出来た。
でも、相変わらず豪快に負けてしまっていた。
小野君の嘘つき。
【目覚めた才能】
ある時、また父親と将棋をしていた。
でも全然勝てずに、いつもメソメソしていた。
そうしたら父親が駒は、歩3個と王一個でやってやると言い出した。
この時父親は、もう俺の勝てないアホさ加減に呆れ切ったのだろう。
そしてこの条件で勝負をしてみた。
最初は余裕をかまして、ガンガン駒を動かしていた。
でも、あっさりとどんどん持ち駒が取られて行く。
そして父親は、奪った持ち駒をどんどん俺の陣地に置いて行く。
そしてとうとう、俺が歩3個と王1個になってしまった。
この時、父親の顔を見たら計画通りしてやったりとむかつく顔をしていた。
結果、見事に負けてしまった。
そして俺は、またメソメソしだしてしまった。
それを見て父親は、呆れたのか山崩しをやろうと言ってきた。
俺は、山崩しなら学校でやった事があり結構得意だった。
そして将棋の駒を箱の中に入れひっくり返し、台の上に置いた。
この時俺は、必殺1コマも崩さず箱を取る!をやって見せた。
見事成功!
それを見た父親は、びっくりした表情を見せた。
俺は、この時どや顔でニヤついていた。
そして父親と山崩しの勝負をした結果、見事に勝利!
俺は、勝ち誇った顔で父親に、ご満悦の笑顔を見せてやった。
でもこの時の父親の顔は、少し微妙な顔だった。
父親の顔は、こいつの特技はこれで本当に良いのか?
という顔をしていた。
でも俺はこの時、将棋の本当の遊び方が解った瞬間だった。
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