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ナンバー2を貫いた男

堺屋太一「豊臣秀長 ある補佐役の生涯(下)」を読みました。

豊臣秀吉の弟、秀長を主人公とした小説。組織で働く私にとって、秀長の気苦労を共感したり、目立たないが着実な仕事ぶりをカッコいいと思ったりして、面白く読めた本でした。

私が選んだポイントは以下の3点

①多忙な合間に、努力を積み上げて技能を習得
→秀吉は周囲の人材の能力を活かす人使いの名人だった。一方で、小一郎は、多忙な合間に、用兵の術や習字、算術、帳付の法などを熱心に習得した。多くの面で人並み以上の働きをした陰には、そんな小さな努力の積み上げがあった。

②困難な地位で成功できたのは
・気難しい独裁者・信長と、大胆な即断を得意とする兄・秀吉との二重の主  君に仕えければならない困難な地位で成功した。
・きらびやかな才能や自信を持たなかったこの人は、常に慎重に、いささかでも重要な問題は必ず兄に報告し、その判断をあおいだ。その代わり、兄への報告はよく整理し、正確を期した。

③決して無駄な銭は使わなかった
・この人が没したとき、金子が五万六千枚、銀子は二間四方の部屋に棟まで積みあがっていたとの記録あり。
・小一郎の築いた大和郡山の城は、その巨封に比べて質素であり、その生活はあまりにも豪華そうであった兄のそれとは対照的に地味だった。

私の感想
上記①について
百姓からスタートして大大名へと急成長した組織。目の前で次々に起こる課題に頼られて、よくぞ対応し続けたと、感心しきりです。そんな裏には、「多忙な中でも、ひとつひとつ学ぶ努力があった」と想像すると、秀長の凄さが際立ちます。

上記②について
気苦労が絶えない中でも、しっかり報告し、指示を仰ぐ。しかもその報告は、よく整理され正確であった。秀長の性格は温厚であったといわれるが、このマインドを貫き通したのが素晴らしいと思います。
小説の随所に「兄のような立場にはなりたくない、自分は補佐役でいたい」という謙虚さが表現されていました。野心があったら、これは貫けないです。

上記③について
大名になっても、質素な生活で、蓄えを持っていたというのも、カッコいいと思います。権力やお金を持っても、無駄に使わず、謙虚さを忘れない。
大いに見習いたいと思います。

ありがとうございました。



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