彼らには銃があり、われわれには詩がある
多くの人はこんなことして何が意味があるのかと思うのかもしれない。
まあ、太鼓を打ち鳴らしながら経を唱えるというのは、天理教か?とも思いますが、やはりこの人は立派な人だと思います。「おかしいよ」ということに対して、徒党を組むのではなく、一人でできることを実践している。
先日も紹介しましたが「市民的抵抗 非暴力が社会を変える」(エリカ・チェノウェス)を読んでいます。
マルクス研究家の斎藤幸平氏の番組で紹介された「3.5%ルール」をちゃんと振り返りたくて、図書館から借りました。
ソヴィエトがチェコスロバキアに1968年に侵攻した時、10ヵ条のガイドラインが新聞に出たそうです。
「ソビエト兵士があなたのもとに来たら、あなたは」
1 知らない
2 気にしない
3 伝えない
4 持たない
5 どうするかわからない
6 与えない
7 できない
8 売らない
9 見せない
10 なにもしない
市民的抵抗とはこういうものなのかとわかりました。
これから行くと香港のドラマーは積極的抵抗ということになるでしょう。
またこんな絵がありました。
あらゆる立場の賛同者、反対者を可視化することが有効ということだそうで、気候変動対策団体350は上記のスペクトラムを用いているそうです。それぞれのパイにどんな団体や人が属しているのかを視覚化するのだそうです。
しかしこれを見てよくわかるのは積極的支持者と積極的敵対者はほぼ対角線の位置にいますが、正反対というわけではない。支持者と敵対者においても妥協する、共有するものがあるのです。それは人間としての共通の倫理観だったり、コミュニティに基づくものだったり、様々でしょう。
そして、このパイの上に書かれている矢印にも大いに意味を持ちます。
積極的敵対者が一気に積極的支持者に代わるわけではない、積極的支持者が活動に疑問を持てば、まずは消極的敵対者に位置を変え、それがまた中立、あるいは消極的支持者にシフトしていく道のりがあるのです。もちろん逆のルートを歩む人もいるでしょう。
夜が明けたら積極的敵対者が積極的支持者に変身していたなんていうことはありえません。変化があるとすれば、徐々に時間をかけて変わっていく。
そのシフトを変えていくのがエリカ氏の言葉だと「非暴力」がもたらす共感力であり、徐々に変わるバロメーターが3.5%というわずかな母数のようです。
香港の拘束者は、私にとっては香港の民主化を考える、もしかしたら我が国の民主化を考えるための3.5%にあたるのかもしれません。
そしてまとめとして最後に記されていました。
市民的抵抗についてみなが知るべき五つの点とは何か?
1. 市民的抵抗は、多くの場合、暴力的抵抗よりも現実的でより効果的な方法である。市民的抵抗とは、優しいことや礼儀正しいことではなく、コミュニティ行動に依拠する抵抗を指す。市民的抵抗とは、暴力よりも包括的で効果的な方法を用いて抵抗し、新たな代替機構を構築することである。
2. 市民的抵抗がうまくいくのは、敵方の心を溶かすことによってではなく、敵方の支持基盤から離反を生み出すことによってである。
3. 市民的抵抗は単なる抗議以上のものを含むー非協力の方法としてストライキのようなものや、相互扶助組織、代替経済制度、代替政治集団といった新しい代替機構をつくること、そうした場で人びとは新たな環境での生活がどのようなものか経験するのである。
4. 市民的抵抗は、過去百年にわたって、武装抵抗よりもはるかに効果的であった。主要な革新的変化や民主化を押し進める上でも、その間に長期的人道危機を生まずに抵抗を続けるという意味でも。
5. 非暴力抵抗は常に成功するわけではないが、市民的抵抗を非難する者たちが考えるよりも、はるかにうまくいく。
それと芸術や音楽が市民的抵抗とどうかかわるっているか、という項もありとても面白く、またそれで思い出したのがこちらのバンド「JAZZY UPPER CUT」
このバンドにはびっくりしました。毎週聞いているラジオ沖縄の「にちようびのグルーブ」で聞きました。
まったく知らないバンドでしたが、刺さってきたので録音して何度も聞きなおし、ラップなのかもしれないが、少し前のものでどちらかというとファンクバンド、私の好きなタワー・オブ・パワーに近い感じでした。
でも歌詞が良いんです。動画を探したら出てきました。
今回紹介されたのがこちらの再販アルバム。
この中の「DEATH TO THE WAR」というのもかかりましたが、熱くていい。
「戦争こそが死ねばいい」という歌詞には参りました。買わなきゃ。
最後にエリカの本に紹介されていた「ハワード・ジン」の言葉
「彼らには銃があり、われわれには詩がある。だから、われわれが勝つだろう」
タイトル写真は先日のライブで頂いた、長野友美さんのイラスト。
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