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黄昏 薄暮 雀色時 逢魔が時 彼は誰時

昔はよく野球で「薄暮ゲーム」がありました。薄暮(はくぼ)とは、デーゲームとナイターの間、夕方プレイボールの試合のこと。
最近はパ・リーグの試合では17時開始とかはありますが、セ・リーグはあまり見かけません。一つには地方球場でやる場合もナイター設備がしっかりあるからということもあるかもしれませんし、ドーム球場も増えたこと、またグラウンドコンディション、管理も昔とは様変わりで、少々の雨でも野球は出来るようになり、試合のスケジュール編成が楽になってきたのが原因でしょうか。そういえばMLBと違って国内ではダブルヘッダーもすっかりなくなりましたね。

そういう薄暮ゲーム、まあナイトゲームでも、試合開始頃は球が上がると見失うことが起きやすく、守備の上手でない選手が、上空を見上げウロウロとして、結局落とすのもまた座興でした。

逢魔が時という言葉がありますが、あれはまさにこの薄暮、夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻のことです。
昔はこの時間が魔物に遭遇する、あるいは大きな災禍を蒙ると信じられたことから、魔に逢うと表現したようです。
だからプロ野球選手でも、こういった時間帯にフライを見失ってポロリというのは、魔が差したことによるのかもしれません。

実は今週の水曜日の逢魔が時に交通事故を見ました。いつもの帰路を車で返っていましたら、この時期は急激に暗くなる時期で6時半頃だったと思いますが、左手のスーパーマーケットの駐車場から車が出ようとしていたので、私は徐行したところ、その車は右から来るクルマしか見てなかったのでしょうか、サッと車道に出たところ、進行方向の左側から来た小学生の自転車に接触。確かに見えにくいことと、多分自転車もそれなりのスピードで走ってきていたのでしょう。ガチャンとぶつかり、小学生はかろうじて足を踏ん張って転びませんでした。逢魔が時だから見えにくかったこともあるんでしょう。
どうするのかなと見ていたら、車からおばちゃんがドアを開けて足だけ出して子どもに「だいじょうぶ?」と声をかけたところ子どもが「はい」と答えたら、そのままドアをしてめて走り出しました。
ありゃ、交通事故なのに…と小学生の所で車を止めて、「大丈夫か?怪我してない、自転車大丈夫か?」と聞いたら「大丈夫です」と大きな声で答えたので、「気を付けんさいよ」と言っておばちゃんの車に向かいましたら、直ぐに左折して去っていきました。なんともはや…。
これはマズい、本当はひき逃げ扱いになると記憶しています。警察は呼ばずとも、せめて安全確認した上で、自分の連絡先を伝えることが必須だったかと。

さて次の木曜日の逢魔が時、同じような時間帯で帰ると、そのスーパーのあたりから渋滞が始まって、後ろからパトカーのサイレンが。ありゃ、渋滞の先頭は事故か…。
バス通りではありますが、片側1車線の狭い道なので、路側帯にぎりぎり寄せたところ、真ん中をパトカー2台が追い越していきました。

今回はスーパーの先、500m位のところが事故現場でした。渋滞が何とか進み見たところ、医療ビルの駐車場から車道に出てこようとした車がやったようで、前部が損傷した車に乗ったおばあちゃんが警官に囲まれていました。

この時間は夕飯の準備や帰宅の車でせわしいと思いますし、急に夕方暗くなるのが早くなりましたから、こういうことが起きやすいのかもしれません。

この日は尾道でも事故があったようです。

柳田国男に「かはたれ時」という黄昏時の話があります。逢魔が時と同じような夕暮れ時のことです。

「かはたれ」とは「彼は誰」で、薄暗くなってくると相手の顔が見えにくくなるところから来ているようです。この話の最後にも「黄昏の危険は数しげくなっている」とありますが、もしかしたらそういう当たり前のことも私たちは忘れつつあるのかもしれません。安全運転でお願いします。

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