ゆっくり歌う
私は昔から園まりさんが好き。あの歌い方、ゆっくり歌う、語るように歌うのが良かったんですね。その園まりさんの訃報、たまに歌番組でお元気な姿を拝見していたのですが、ご冥福を祈ります。
もちろん彼女はとてもきれいな方ですが、チャキチャキとは対極的な、おっとりした感じが私の好みでした。
この映画も良いのですが、私がここ数年推しの女優さん、園まりさんに似ていることにふと気が付きました。もちろん私の押しはコメディエンヌであることが要件です。それは誰か?最後に紹介します。
そういえば青年期以降はジャズボーカルもよく聞くようになりましたが、アップテンポよりスローバラードの方が好き。
実は大学で東京に出て、最初に聞いたのがジャズボーカルのコンサート、当時合ったスゥイングジャーナルの懸賞であたったのが「アン・バートン」の二回目の来日公演1974年で、芝公園にあったabc会館ホールのものでした。
応募したもののアン・バートンは全く知らなかったのですが、やはりそれから嵌ったわけですから、私にとっては運命的なコンサートでした。
その後彼女のアルバムはほぼ全部購入しましたが、とにかく好きな3曲を選ぶなら
「Blue Burton」の「Go Away Little Boy」「Sunny」、そして「Burton for Certain」の「I Cover The Waterfront」でしょうか。
Go Away Little Boyはジェリー・ゴフィンとキャロル・キングの曲で、一番ヒットしたのはダニー・オズモンドによるものだと思いますが、Little GirlをLittle Boyにした歌がしんみりするんですね。
Sunnyはボビー・ヘブ作曲の歌で本人も含めて多くのR&Bシンガーが歌っていますし、世に出て60年経った今でもビリー・アイリッシュも歌っているのもある名曲ですね。
こういったわかりやすい曲から入ってのが良かったみたいですが、それ以上にアン・バートンの歌唱力、表現力にまいり、今でも聞いています。
さて3曲目の I Cover The Waterfrontはビリー・ホリディの名曲ですが、アンはホリディを敬愛してこの曲を歌ったとか。帰ってこない人を待つしみじみとした哀しみがビリーとは別の表現で伝わってきます。
アンはとてもゆっくり歌うのですが、これだけスローだと他に歌える人はなかなかいないのだろうな、スローな歌い方と言えば小野リサさんとか原田知世さんもいますが、声の厚みが少し足りない感じを受けます。そんな中、園まりさんだったらどうだったろうとも思います。
I Cover The Waterfrontは邦題だと「水辺にたたずみ」と訳されますが、いまは「たたずむ」ようなゆっくりとした時間なんかあるんでしょうか。急げ急げ、タイパタイパの時代で、私なんかはとてもついていけない。欲と利権のリニア新幹線も、なんでそんなに急ぐのか?と思いますし、地方のジジイにしてみればそんなに急ぐと身体が先に行っても、心なんかついていってないじゃないかと思いますね。そんな急げ急げは我が国だと首都圏がせかしているんでしょう、テレビを見なくなったのも、東京のキー局の急げ急げにウンザリしたからかも。ドラマも24以降とにかく時間に追いまくられるようなものが増えたのも全く興味がわかなかくなった一因に思います。
「たたずむ生活」には無駄も多いかもしれませんが、「たたずむ」中で聞こえるものもあります。園まりさんの歌もまたそんな歌だったと思います。
さて先ほどの「推し」の女優さんの答え、それは深川麻衣さん。似てません?私はテレビ東京のドラマ「日本ボロ宿紀行」でオヤッと思ったのですが、役柄も「たたずむ」感じでゆっくり感が満載でした。