痩せた大地
今年は土筆採り、筍掘りといつになく不調で、なんだかおかしいというのは既に書きましたし、GWに芝刈りをしたとき、この時期に刈っておかないと夏になったら伸びて往生するのですが、だいたいGWは2度刈りしないときれいにならないものが、今年は1度で十分。
それがあって、なんだか大地が痩せているように感じてはいたのですが、近所の竹やぶを見ても軒並み青々とした竹ではなく、黄色く弱った竹林になっていることに気が付きました。
先日旧盛和塾の勉強会で、食品卸の会社の社長さんと話をしていた時にその話をすると
「去年からおかしいし、本当に採れない。温暖化の関係かと思っていたけれど、それだけではないかも」とのこと。
お米も田んぼに引き込む水が温かくなりすぎて、昨年の稲刈りの時期は、一見稲穂が垂れ下がって豊作に見えたのですが、実は米は小さく、籾だけが太っていたので、米どころも相当な打撃だったそうです。それを聞いて調べると。
ああ、このこと、新潟コシヒカリの1等米の比率が3%だったと言われていました。
彼の所は南九州でネギも委託生産しているそうですが、猛暑と台風、大雨の影響でお手上げ。今は中部の方の農家にシフトしているけれど、どうしようもない。
「鈴木さん、最近野菜の値段がおかしいでしょう。あれは採れなくなっている、出来なくなっているから。それが今年も続くよ、一過性じゃないよ」
と恐ろしい話でした。
確かに他の知り合いからも「九州に栗林持っている親戚がいるけれど、昨秋は全くダメだった」「日本海側の貝類は不漁が続き、サザエも10個で3000円くらいする」とも聞きます。
日本海側は能登半島地震の影響もあるのかなとは思いますが、貝は海藻を食べますから、どうやらそっちかも。
海というより、陸地に近い場所が痩せてしまい、海藻が減り、結果貝類も…というサイクルではないかな。陸地からそれに繋がる海岸という大地が、広範囲に弱っているように感じます。
青葉繁れるこの時期も、山を見るとどうも力強さがない。先日もアップした山頭火の
「分け入つても分け入つても青い山」
ですが、緑の木々が青々と密集するさまが「青い」と表現されているのだと思いますが、もう我が国では「青い山」と表現する自然など失われつつあるのかもしれません。
都会の人は普段「青々とした」とか「大地」なんか見ませんから、気が付かないだけ。都会の肥料と自動散水で育成されたまがい物の「緑」を愛でているだけ。
実は私もそうだと思いますが、口の卑しい私は、食べ物からようやくそれに気が付いたように思います。
東京新聞のコラムにもありますが、これはあくまで食料としてのコメ作りではなく、都会型の伝統、景観としてのとらえかた。
そうではなく、食糧安全保障の潮目を越えている、その認識がToo Late, Too Little はではないでしょうか。
温暖化云々という賛否両論ある問題ですが、どうやら昨年から今年にかけてもう引き返せない地点、転換点を越えたように感じます。