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世界中が雨
広島FMで「月曜日の盤」という番組がありますが、この番組ヒップホップやラップとかが多いのですが、中には「おっ!」とラジオでは珍しい曲がかかります、先週はドン・チェリーでした。もちろん知らない曲も多く、時々耳に引っかかって「ほーっ」となることも。
今回の最後の曲は浅川マキさんの「こんな風に過ぎて行くのなら」でありました。この歌の初出は1973年だそうで、浅川さんが31歳の時の唄です。
いいんですよね、というかこの歳になり、ようやく私も浅川さんの唄がしみじみ聞けるようになったということか…。
さて、この歌の歌詞の1番と3番で
「今夜ほど淋しい夜はない きっと今夜は世界中が雨だろう」
というところがあります。
この詞の含む所は「それでも止まない雨がない」ということかもしれないと思って聞きました。
さて、水を差す(雨を差す)ようですが、世界中が雨ということはありうるのでしょうか。
夜も雨が降りますし、朝も昼も雨は降ります。春夏秋も降りますし、冬は雨が雪に変わることもあるでしょうが、まあ降ります。宮沢賢治の永訣の朝でも「あめゆじゅとてちてけんじゃ」というところがありますが、「あめゆじゅ」とは雨雪(みぞれ)のことだそうで、その音が寒さを感じさせます。
ただ生き物が住みづらいナミブ砂漠砂漠みたいなところはめったに降らないでしょうが、年間降水量は120 mmだそうなので、一日にすると120mm÷365=0.33mmくらいは降るということなのでしょう。
さらに上には上がいて、ググると「スーダンのワディハルファは年間平均降水量は0.5mm」(一日0.001mm)だとか。
と言っても限りなくゼロに近いがゼロではない。だから雨が降らない所は地球上にはないと思うのです。
ひたすら雨が降り続くシーンのある映画といえば「ブレードランナー」でしょうか、ロサンゼルスの屋外はひたすら酸性雨が降り注ぎます。
(続編は海辺の嵐の場面や雪の場面はあるものの、砂漠のシーンや乾燥した農家や産廃場の場面もあって、少し残念でした)
またタル・ベーラ監督の「ニーチェの馬」は徹頭徹尾砂嵐の続くもので、世界中の核戦争の後の風景を示してとても印象的でした。
さて、では浅川さんの唄のようにある一日世界中が雨という可能性はあるのでしょうか?ゼロではないでしょう
21世紀の世界は戦火がどこかで起こり、貧困問題も収まらず、毎日雨かどんよりとした天気が続いているように思います。
それでもこの歌のように「止まない雨はない」と前を向かなければと思います。