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コンサルタントは経営者に本来の「目的」を思い出してもらうことも大きな役割

 日本の会社には創業当時からの本当に素晴らしい理念やビジョンがあるものです。常日頃から会議室の正面等にこれらが掲げられてあることも大変良く目にします。世の中の景気も良く、ほぼ順調に回っている時には問題はなくても、不景気の景気循環の中にはまりこんで抜けられずにいると色々な軋みが出てくるものです。

 良く目にするのは、経営状態の低空飛行がずっと続いていると、創業当時からの理念やビジョンはいつしか頭から遠ざかり、気がつくと目の前の月々の「数字」を達成することが最大の「目的」になってしまう会社もあるものです。

 本来であれば理念やビジョンが会社の大きな「目的」であるにもかかわらず、それらを達成するための通過地点である直近の「目標」にばかり目がいき、全ての従業員のエネルギーがこの1点に注がれてしまうこともあるものです。

 そういう職場では、毎月の数字目標を何が何でも必達することが大前提になっています。目の前の数字目標が最大目的化しているのです。もちろん、大きな「目的」を達成するためには目の前の個々の「目標」を必達していくことは基本であり重要なことです。

 しかしながら、達成することがノルマ化されて目的化されると本来の理念やビジョンを達成する上での悪い影響が出てきてしまいます。そういう職場や会社を見ると従業員が大変疲弊しているのがわかります。不景気の中にあっては努力が常に結果に結びつくことはないものです。いくら活動しても未達状態が続き未完了感だけが残り、雰囲気が悪くなり、やがて職場の活力は削がれていってしまいます。

 私も大昔に販売の現場にいたことがありました。そこでは「目的」と「目標」がいつの間にか入れ替わり、毎月の「目標」を必達することが全体の最優先である「目的」になっていました。毎月、従業員は販売ノルマで疲弊し、とても「やりがい感」意識まで到達することはありませんでした。そして、このような雰囲気が、お客さまにもなんとなくわかってしまうものです。決してプラスにはなりませんでした。

 そのような状況には、最終顧客である「お客さま」に視点を移して、そんな時であるからこそ、一人ひとりの「お客さま」を大切にしていく具体的な活動を取り入れていくことが必要だと思います。その頃の私自身といえば目標達成のために奔走していただけでした。今考えると悔いだけが残ります。

 「お客さま」に視点を移した具体的活動を通じて、「お客さま」から直接間接的に戴いた感謝の気持ちや「ありがとう」という言葉は、従業員の「やりがい感」に響いていくものです。疲弊しがちな従業員の気持ちに潤いを与えてくれ、「やりがい感」を思い出させてくれるからです。

 コンサルタントが、そんな場に出くわした場合は、会社本来の理念やビジョンを振り返って、そこから足元をもう一度見直してみることが大切だと思います。


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