熱と焼肉
夕方、帰宅しドアを開けたらむわっと熱風。
室内は完全に熱気と高湿度のサウナ状態で、早急に人が居れる環境にしなければと窓を開ける。
窓を開けるが、外もまた熱帯なので意味のないことを悟る。
すぐに閉めてエアコンを付け、扇風機を付ける。
先日までは窓を開けるだけで涼しい風が入ってきて、それでよかったのだけど、もう人工の風に頼らないといけない季節になってしまったかと思う。
キッチンとリビングを区切る引き戸を締め、リビングを密閉しエアコンの冷気を扇風機の風で巡らせ、部屋を急速に冷やす。
気持ちいい。
喉が渇いたと思ってキッチンへ行くとやはりむわっと暑い。こっちは窓を開けて換気。コップに氷をたくさん入れ、作り置きのお茶を出し注ぐ。チョコミントアイスの箱がまだあったので、一本取り出す。
蒸されたキッチンを脱出して、リビングへ。温度差。
キンキンに冷やしたお茶を流し込み、チョコミントバーをかじり体内を急速に冷やす。
休息。
あとで腹が痛くならないといいな。最近、冷えに非常に弱い。
しばらく休んだあと、また家を出なければならなかった。沖田の仕事が終わる時間だったので「直帰する?」「するならエアコンつけたままにしとくよ」と訊いてみる。
沖田「ちょっきる!」
冷えた部屋をそのままにして、家を出た。
8月1日は花岡の誕生日だった。
会議という名目で集まり、色々「会議」したあと、一日早かったが焼肉を食べた。
去年も花岡の誕生日に焼肉を奢った気がする。その前はどうだったか。
そういえば、花岡に物をあげたことがなかった。
花岡は私の誕生日に、ハンドクリームや手作りのレジンのペンダント(手作り!)やコーヒーとごま油や、律儀に物をくれていた。
なので、「なんか欲しいものないか」ときいてみた。
「欲しいもの……」なんだかパッと思いつかないようだったが「スマホカバー」と言った。
花岡が使っているスマホカバー、以前に現彼氏に選んでもらったやつと訊いていて「え、私が買って大丈夫なの?」と言ったら「選んでもらったけど買ったのは自分だし」とのこと。スマホカバーは横開きになるタイプで確かに端が擦れ少し壊れ始めていた。
とはいえ、なんとなく罪悪感があるのだった。でもまあ、欲しいなら買うし。
と言いつつ、また「うーん、欲しいもの、何かなあ…」と考えだしたので、結局その日は何を買うか決まらず終わった。
吉祥寺でまたねと別れたとき、時計をみたら0時過ぎだった。
いつのかにか日を跨いでいた。振り返ろうと思ったが、やめた。その瞬間を彼氏にあげられなかったな、とまたちょっと罪悪感を抱きつつ、帰宅。
次に花岡のスマホカバーが変わったら、それはきっと私が買ったものだ。