シェア
明転。舞台には机と椅子2脚。 カトウが現れる。いかにもストーリーテラーといった感じ。 カトウ とある青年の話。彼の青春は、普通といえば普通。だが、ある種、味気ないものだった。というのも、一番多感な時期にしかるべき経験をして来なかった。彼は童貞を捨て損ねていた。そもそもの起こりは高校時代だろう。同級生女子の「月々の事情」をイジリ倒してしまった結果、女子からの「異性としての対象価値」を失った。それからずるずると、彼は機を逃し続けてしまった。当時青かった己の過ちをそれ
登場人物 渡蟹(わたりがに) たかお(26)……長男。フリーター。コンビニでバイトしている。 渡蟹 たかひろ(24)……次男。会社員。 まりも(23) ……たかひろの彼女。たかひろとは飲み屋で知り合った。 霧見(きりみ)(27) ……コンビニ店員。たかおのバイト先の同僚。バンドマン。 ■コンビニ・夜 まだ日をまたぐ前の夜のコンビニ。 たかおと霧見がレジカウンターにいる。 (SE)ファミマのメロディ。(来店時に鳴るアレ) 二人 いらっしゃいま
板付きでシーがいる。顔を紙袋で隠して、両手に山羊のパペットをはめている。右手がイー、左手がムー。 シー (ムー)あるところに山羊の家族が住んでいました。この家族には他の家族とは少し違うところがありました。ひとつはお父さんがいないこと。もうひとちょっと変わった兄妹がいること。それでも家族は滞りなく生活していました。ある日、母さん山羊はおしろいをはたきながら言いました。「(イー)ちょっと感謝祭だから勝負してくる。いい子でお留守番していてね。誰か来ても決してドアを開けてはいけ