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明転 板付きで、食卓で食事をしている男と女 女 おいしい? 男 …おいしいよ 女 ほんと? 男 (頷き) 女 よかった。この鮭おいしいでしょ。脂のってて。北海道のいいやつなのよ。とってもいい色してたから、買っちゃった。 男 ふーん 女 あと、りゅうちゃん寝てる時ね、お荷物届いたよ。アマゾン。何買ったの? 男 洗剤とか、食料。 女 もー日用品くらい、外に出て買いに行きなさいよ。だらしないなぁ。 男 まとめて買ったほ
明転。舞台には机と椅子2脚。 カトウが現れる。いかにもストーリーテラーといった感じ。 カトウ とある青年の話。彼の青春は、普通といえば普通。だが、ある種、味気ないものだった。というのも、一番多感な時期にしかるべき経験をして来なかった。彼は童貞を捨て損ねていた。そもそもの起こりは高校時代だろう。同級生女子の「月々の事情」をイジリ倒してしまった結果、女子からの「異性としての対象価値」を失った。それからずるずると、彼は機を逃し続けてしまった。当時青かった己の過ちをそれ
板付きでシーがいる。顔を紙袋で隠して、両手に山羊のパペットをはめている。右手がイー、左手がムー。 シー (ムー)あるところに山羊の家族が住んでいました。この家族には他の家族とは少し違うところがありました。ひとつはお父さんがいないこと。もうひとちょっと変わった兄妹がいること。それでも家族は滞りなく生活していました。ある日、母さん山羊はおしろいをはたきながら言いました。「(イー)ちょっと感謝祭だから勝負してくる。いい子でお留守番していてね。誰か来ても決してドアを開けてはいけ