命のやり取り
ニュースで拝見したことについてです。
この記事はイノシシについて生々しい表現がでてきます。
久しぶりのイノシシについての記事なのですが、そういった表現が苦手な方はご遠慮いただければと存じます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
広島県で80代男性がイノシシに噛まれて死亡したという痛ましい事故が起きてしまいました。
全国で毎年亡くなる方がいるのですが、そのほとんどが「あし罠」または「くくり罠」というもので起こります。
(「はこ罠」ではあまり事故が起こったことは聞いたことがありません。)
あし罠、くくり罠
「あし罠」「くくり罠」というのは土の中に埋められた罠をイノシシが踏むことでワイヤーが足首に巻かれる仕組みの罠のことです。下手くそですがイラストでご説明いたします。
はこ罠
「はこ罠」は文字通り金属でできた丈夫な箱の中に仕掛けがあってそれを作動させるとゲートが落ちてイノシシを捕獲する、というものです。
イノシシは人間が想像する以上に嗅覚が良くて、頭がいいです。
嗅覚は犬より良いとされていますし、記憶力も良く、匂いと怖い経験を結びつけてその匂いがするところには近付かなくなります。
あし罠、くくり罠の話に戻ります。
捕獲されたイノシシは本気で走って逃げようとしたり、人間を見つければ敵だとみなして突っ込んでこようとします。
ワイヤーでその勢いが止まりますが、正直生命の危険を感じます。
臨場した人はどなたも感じるかと思うのですが、
「イノシシが突っ込んできたら…」最悪の場面が頭によぎります。
タイトルにある「命のやり取り」はここの場面のことを指しています。
真っ直ぐ突っ込まれないように木の影やイノシシの突進を回避できる障害物に隠れながら、イノシシの足元を確認します。まずこの確認ができないと怖くて次の手が打てません…。
足首にワイヤーがしっかりかかっていれば基本的には外れることはありません、基本的にはです…例外もあります。
ワイヤーは複数回使用していると切れる場合もあります。
それぐらいイノシシの突進には破壊力があります…。正直めちゃめちゃ怖いです。イノシシも生きようと必死なのでそれは自然なことですよね。殺気がすごいです。息遣いもかなり荒いです。気圧されて怯むと逆に危ないかもしれません。
蹄に辛うじてワイヤーがかかっている場合はもう恐怖です。もう1箇所ワイヤーでくくるのが安全かなと思いますが、その限りでない場合もあります。
その状況に応じて安全な対処をしていくべきなのですが、正しい判断をするのは経験を積まないと難しいと思います。
もしイノシシが捕獲されている現場に
遭遇したら
イノシシがこちらに気づいている場合はかなり興奮していることが考えられます。
木の影やイノシシからの突進を避けられる丈夫なものを自分とイノシシの間に入れながら静かに逃げてください。
もし頼れるものがない場合、斜面があれば上に逃げてください。
下はイノシシのスピードが増すので基本的に危ないです。
恐らく心拍数がかなり上がっていると思います。
そんなときこそ冷静な判断を心がけたいですが…なかなか難しいです。
平面で何も頼れるものがないときはもっと早く気づくと思うのでおいておきます。
イノシシがこちらに気づいていない場合は、できるだけ音を立てないように逃げてください。
森の音は貴重な情報源となります。
山に入られる際はできるだけ落とすことのないようにしてください…
野生のイノシシに遭遇したら
今の時期は子育てをしている関係で子連れの母イノシシがいると子を守ろうとして攻撃的になる可能性があります。
基本的に先ほどの対応と同じで、木の影やイノシシから突進を避けられるものを自分とイノシシの間に入れながら静かに逃げてください。
間違ってもイノシシに突っ込まれることの無いようにしてください。
そしてイノシシはメスにも牙があるので気をつけてください。
オスより短いですが、動脈を切られると大変なことになります。
オスはさらに長い牙を持っています。
首周りの筋肉がものすごく発達しているので、ぶつかった後に下から上に突き上げてきます。
アメフトやラグビーのトップ選手が凶器(牙)を持って突っ込んできて(イノシシは1秒で10メートル以上進めます。)尚且つそれをすごい速度で振り上げてきます。
人間の勝てる相手ではないです。(ウリ坊などは別ですがウリの線が消えていたらもう力があると思った方が危なくないです。ウリ坊の近くには母親がいることが多いので気をつけてください。)
今回の事故は、捕獲されたイノシシの様子を見に行ったことで起こったと見られています。
経験がある方でも怪我をしたり、亡くなってしまうことがあります。
ただ今回のことでイノシシだけが悪者になってしまうことも違和感があります。
できればイノシシとヒトで棲み分けをして共生していくことができれば良いのですが・・・。
車との接触事故もニュースで取り上げられていますし、今後もこういった事故は増えていくことが考えられます。
こちら側が情報を共有して少しでも接触を回避できるのであればそれに越したことはありません。
もののけ姫のアシタカのセリフ、
「森とタタラ場、双方生きる道はないのか?」
が頭の中に響いています。
森の中や山に入るときは覚悟を持っていくと改めて肝に銘じます。
他人事ではなく、自分事として捉えられるかが大切だと感じます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
サポートしていただけたら、実験用具を買うか、実験用の薬品を買うかまだ決めていませんが、生徒さんたちと授業のために使いたいと考えています。