28.与えられた運命を、精一杯生き抜く(最終回)
■急な転居も考え方次第
今日、この扉を開けるのは気が重い。マスターののぶさんへどうしても伝えないとならないことがある。
「こんにちは。」
このカフェに通い始めてちょうど1年。いまでは、カフェというよりは自宅へ帰るような気持ちになる。
いつもの笑顔で彼は私を迎え入れてくれる。
私もいつものようにカウンター席に座る。
何を言わなくてもブレンドコーヒーを淹れ始めた。日常である。
「実は・・・」
急な転勤が決まり、妻と娘をこの地に残して、単身で遠方へ行くことになったことを、手短に伝え