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#413 Eagles カリフォルニア幻想の終焉/音楽千夜一夜06
1,200字
久しぶりに音楽の話を。
音楽の聴き方は年齢と共に変わった。若い頃は流行りを追いかけていたけど、ジジイになって「故きを温ね新しきを知る」と、懐古的な選曲をしている。若かりし頃の思い出に浸るというよりは、あの頃、なぜこの楽曲がよいと感じたのか今になって気付くことがある。
ギターの弾き方やフレーズの妙、ベース、ドラムのリズムの刻み方、ボーカルの発声やブレスに意識がいき、「そうか!だからこれが好きだったんだ」と再認識するのである。
ジャンルとしては、ブリティッシュ・ロックとか、アメリカン・ハードロック、K-POP、J-POPのように国を冠にしたジャンルがある一方で、発祥の地を冠したニューオリンズ・ジャズ、デルタ・ブルース(ミシシッピー)、リバプールサウンド、津軽民謡(三味線)などがあって、私は少年期から青年期、壮年期、中年期、高齢期にいろんなジャンルの音楽をつまみ食いしてきた。
そんな中、アメリカのウェストコースト(西海岸)サウンドと、イーストコースト(東海岸)サウンド隆盛の時代があって、ウェストの代表がビーチ・ボーイズ、ドゥービー•ブラザース、そしてイーグルスだった。
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『ホテル・カリフォルニア』はウェストコースト・サウンドの傑作と言われているが、イーグルスは元々、寄せ集めのバックバンドから派生して結成され、当初はカントリーっぽいサウンドが多かった。
ロサンゼルスが活動拠点というだけでウェストコースト・サウンドという括りになっていた。
当人達の思惑とは違ったけど、結果的にウェストコーストの“観念”を体現したバンドと言ってよいだろう。その最も顕著な作品が『ホテル・カリフォルニア』であり、イーグルスのメンバー達の鬱屈とした心象風景を描いたものだ。
私が16の時だから、すでに半世紀がたとうとしている。
彼らの心はこうだった。
カリフォルニアは一見すると華やかで居心地が良さそうだけど、でも俺たちにとってそこは空虚で、生きる意味とか価値なんてないんじゃないのか?
イーグルとして空高く飛ぶつもりだったけど、なんか違うんだよなぁ‥‥たまたま立ち寄ったホテル(カリフォルニアそのもの)に閉じ込められて囚われの身となっちまった。ああ、俺たちはここで生きていくしかないんだよな・・・・
このように幻想としての“カリフォルニア”をテーマにしたものが「ホテル•カリフォルニア」だと解釈されている。
イーグルスは、最初のシングル『テイク・イット・イージー』のヒットで勢いづいて『呪われた夜』でついに全米1位となり、その後、幻滅、幻想といった虚無感の中で『ホテル・カリフォルニア』でバンドとして終止符を打とうとしたら、それがまた全米1位になっちゃったという顛末というかオマケというか‥‥
「あなたはこのホテル(カリフォルニアの地)から離れることはできないんだよ」という言葉の後に延々と続く泣きのギター・ソロで聴く人の心はより一層、幻想と悲しみと虚無の世界に引き込まれていくのである。
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