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#319 Z世代、α世代、β世代のDX戦略

今回はIT関連の講義で取り上げた内容。

未来社会を担う若年層は、デジタルネイティブとも呼ばれ、SNSとの結び付きが強く、インターネットミーム(Internet meme)に対しては極めて敏感で反応が早い。

インターネットミーム(ネットミーム)
 ウェブサイトや掲示板、SNSにある文章、画像、動画等のコンテンツを通じて人から人へ広がってゆく文化・行動

彼らは上の世代とは明らかに異なる感性と価値観を持っており、トレンド分析にも長けている。

Windows95が登場したインターネット黎明期に、クリフォード・ストール著『インターネットは からっぽの洞窟』が話題になった。

ストールは「コンピュータが子どもたちをダメにする」と主張した。

そこで指摘されていた「子どもたち」は、今や30代となりITを駆使してビジネス界を牽引する存在になっている。

成長過程では、FacebookやIstagramなどのSNSが登場した。
東日本大震災をきっかけに家族の安否を確認するライフラインとしてLINEが開発され、コミュニケーションツールの定番となっている。

いつの時代もダメと言われる若者たちだが、彼らはデジタル時代の波にうまく乗っている。

ブラウザーに表示される情報や広告がアルゴリズム解析によって使い手の好みや都合の良い情報が表示されることも心得ている。

雑誌を読んでいて「若年層のSNS活用の実態と価値観」という記事を見つけた。

電通若者研究部の工藤 永 氏による分析はWebでも一部読めるようになっている。

工藤氏が大学生へ質問したデータがある。

普段、企業やブランド、商品・サービスに関する情報を得ているメディアは何か。
結果は・・・

「SNS」62%、「ウェブ動画サービス」50%、「友人や知人との会話」48%、「テレビ」45%、他「交通広告」19%、「雑誌」10%

私が講義、その他の活動で関わっている学生300名にも質問した。
Googleフォームでのアンケート回収率88%(264名)。

結果は・・・・

「SNS」69 %、「ウェブ動画サービス」48%、「友人や知人との会話」40%、「テレビ」30 %、他「交通広告」9%、「雑誌」18%

地域性や学生層によって数値の違いは出てくるだろうが傾向は同じだ。

学生たちは複数アカウント(本アカ、裏アカ、捨てアカ)を持っている。
友人・知人との関係性を詳細にカテゴライズしてアカウントを使い分けている。

目的別にアカウントを切り替えながら自分が欲しい情報を分類しているということだろう。

フィルターバブル」や「エコチェンバー」など、SNS側のアルゴリズムで自分の行動が監視され、特定の方向に誘導されていることを逆手にとっているのである。

フィルターバブル
 アルゴリズムがネット利用者個人の検索履歴を分析し学習することで、個々のユーザーの嗜好や思考が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立するという情報環境

エコチャンバー
 自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローした結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況

AIの進化に伴って、取捨選択方法の合理化と時間の効率化、リアルタイム性、コスト削減(交通費をかけて実店舗に行くことはしない)を実現している。

上手く使いこなしているようにも見える。

しかし、スマホ依存という沼にハマって苦しんでいる学生もいる。
ネットゲームに課金するためにバイトしている学生もいる。

これからの時代、情報発信者である個人や企業は、情報の足場となるプラットフォームの適正化をはかり、正しい形で顧客を誘引すること考える必要があるだろう。

そこに利益を求めるとなれば新たなマーケティング戦略も考えなければならない。

少子化の影響は計り知れない。

若年層は未来の大切な「お客様」であり、一方では創造プランナーでありクリエイターでもある。

私は、関係性の深い学生やゼミ生とは、大学専用のアカウントだけでなく、TeamsやLINEを共有している。

しかし、学生が日常的に活用しているのはInstagramだ。

“ キラキラ ” ” え ” のコンテンツを投稿したり読みたいわけではない。

インスタのDMを使いたいのである。
相手がメッセージを読むと勝手に画像や文字が消える機能があったり、ボイスメッセージなど、今どきの学生にフィットするのだろう。

フェイスブックとXは、もはや「化石」とか「民度の低さにうんざり」と評する正義心の強い学生もいる。

若者が大勢を占めていたSNSに、オジサン、オバサン世代が流れ込んでくると若者は逃げる。

私はそれが当たり前の反応だと思っている。

そんなことより、個人的にはリアルな日常でお互いの息づかいを感じながらわかり合う努力をしたほうがいいと思っている。

教師をめざしている教職課程の学生は、J.デューイ(米国の哲学者)の「経験主義教育論」を学ぶ。

経験主義教育論
 経験を単なる環境から主体への一方的、受動的作用としてではなく、主体的、質的に発展・再構成していくところに教育的意義を認め、そこに人間の成長があるとみなす教育論

平成時代に入ってから改めてデューイの経験主義が重んじられたものの、単なるネットをフィールドにした「這いまわり学習」などと揶揄され、探究の神髄に迫る取り組みは少なかった。

故きを温ね新しきを知る

令和型学校教育は「総合的な学習(探究)の時間」に力を入れ、改めて「経験学習」の要素が必要になっている。

「這いまわり学習」で終わらせないためには、指導する大人が這い回っているだけではダメなのだろう。

さて、あとのことはZ世代以降の君たちに任せた!

私は私で認知力が低下して、その辺を這い回る老人になるかもしれないので、そうなったら助けてくれたまえ。

若者と向き合いながらもう少し頑張ってみるか。