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#134 いのちの授業

■こどもの困りをどう救うか

何とも悲しい話だ。

昨年1年間で507人の小・中学生、高校生が自殺を図っていたことが厚労省の集計(暫定値)で分かった。7割近くを高校生が占めている。(2024年1月26日報道)

過去最多だった令和4(2023)年の514人よりは減少したものの、過去2番目の多さで依然として深刻な状況が続いている。

昨年10月段階では、児童・生徒の自殺件数を1~10月の10カ月間で比べると、今年は過去3年間よりも少なかったものの、コロナ前の令和元年を上回っていた。

文科省の自殺対策会議の配布資料によると、年間の自殺件数は劇的に解消されているわけではない。
多寡の問題ではなく、依然として「死を選ぶ」という深刻な状況が続いていることは間違いない。

小中高校生の自殺は、ネット記事でも報じられることが多く、なおかつ「あってはならないこと」が起きているだけに、社会に与えるインパクトは大きい。

私が住んでいる政令市は人口が多いことから全国と比較しても自殺者数は多い。

いじめや発達障がいに起因する不登校やひきこもりの問題も一向に止まらないが、不定愁訴に基づく自殺が発生したり、自殺願望、希死念慮に苛まれる児童生徒が一定割合でいる。

小中高校生の自殺を食い止めるための方策として、教育相談担当教諭や教護教諭と、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとが連携して「いのちの教育」に関する研究会や会議、講演会を開催するとともに「いのちの授業」を展開する学校も多い。

■いのちの授業

道徳などを通して、いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか、ということも教育における重要な課題だ。

心を育む原点にあるのは
「何を大切に思うか」
「どう生きるか」
「なんのために学ぶのか」
「生きがい、働きがい」
に関わる思考を授業の中に落とし込むことだろう。

人の悩みの9割は「関係性」の問題だと言われている。

他者との関わりやつながりの中で「生かされている」という認識を持てると、自分をつくり支える根となり、根が張れば地上の幹、梢、枝葉も元気になる。

自分にとって大切なものが見えると幸せになれるはずなのに、そこが見えなくて迷っている子は多い。

年明け早々の震災でも尊い命が失われた。
今日も明日も生き続けると信じていた命が一瞬にして消えてしまったのだ。

自分にとってはつらまらないと思う日もある。
その日に亡くなった人にとっては、 なんとしても生きたかった一日。

人は生まれ、生きて、やがて死んでゆく。
日頃から意識的に死を見つめる機会はそんなにないけれど、他者の死に触れたとき、生きること、命を見つめることの大切さを改めて知るのである。

大切な人の死、可愛がっていた動物の死・・・・

子どもたちが深く考える教育(授業)は昔から取り組まれてきているものの、現実が追いついていないと言わざるをえない。

「行き詰まっているんです」
「苦しいんです」
「悲しいんです」
「どうしていいかわかりません」
「助けてください」

言葉は理解できるけど心まで届かないことがある。

心の結び目をつくりたい。
ほどけてしまった結びめを結びなおしたい。

親や教師、身近な人には相談できない心理的抑圧・・・・・

子どもたちの心の声を外へ引き出すことや生きる力を育むための方法論として、認知行動療法を教育に取り入れている医師と臨床心理士、教員もいる。

年末に、スクールカウンセラーのスーパーバイザーをされている大学教授と情報交換した。

私が関わっている数校の高校生たちにも何か考えるきっけを与えることができればと思っている。