見出し画像

#280 音楽夜話01 『臨月』

新たに「音楽夜話」と銘打って音楽やアーティストの思い出を。

食わず嫌いとか聴かず嫌いだったわけではないけれど、中島みゆきが凄いと感じるのに6年ほどかかった。

『時代』がヤマハ・ポピュラーソングコンテストでグランプリ受賞する前から、地元の北海道では“コンテスト荒し”の異名を持つアマチュアとして噂は聞いていた。

当時、ロック小僧にとって、歌謡曲やフォークソングは関心の対象ではなかった。

もちろん、TVやラジオでどんな歌が流行っているかは知っていた。

ロック小僧たちは表向き、そういうのはちょっとダサいなんて鼻で笑っていたのだ。
内心ではキャンディーズやピンクレディーが好きなくせに。

私の場合、中島みゆきの存在が一気に興味の対象となったのは1981年リリースの『臨月』だった。

きっかけは、彼女のアルバム製作に関わったスタジオミュージシャンとライブのバックバンドのミュージシャンが豪華すぎて、ロック小僧たちの間で話題になったからだ。

これは聴かなきゃダメっしょ、ということになった。

【気になった演奏者】
椎名和夫、安田裕美、渡嘉敷佑一、鈴木茂、松任谷正隆、後藤次利、斉藤ノブ、島村英二、矢島 賢

【収録曲】
1.あした天気になれ
2.あなたが海を見ているうちに
3.あわせ鏡
4.ひとり上手
5.雪
6.バス通り
7.友情
8.成人世代
9.夜曲

バックの演奏が素晴らしいことを確認しようと思ったわけだが、そこで中島みゆきのシンガーソングライターとしての凄味を初めて体感したのだ。

私が21歳の時だからすでに43年前の話だ。

以来、日本の音楽シーンも捨てたもんじゃないぞと思うようになり、当時「ニューミュージック」と呼ばれていたジャンルをはじめ歌謡曲、そして演歌まで聴くようになったのだった。

『臨月』は今も手元にある。

ただし、これは妻の嫁入り道具(?)として、ずっと所有され続けてきたものだ。
(中島みゆき、荒井由実・松任谷由実のアルバムがわんさかある)

妻は私より7つ年下で、この手の話(音楽やアニメなど)になると、話が合う部分もあれば、性差や世代のギャップを感じることもある。

本稿を書くに当たって、何十年かぶりでレコードに針を落として聴いてみたのだが、『臨月』の音づくりは、今この時代に聴いても完成度の高さを感じる。

音質の良さを感じるのは、レコードはアナログで記録されているため、20,000Hz以上の音(CDではカットされる音)も拾われて、その波長が微妙に共鳴して逆に臨場感や温もりを感じられるからだろう。

その後の彼女の活躍と素晴らしい作品群は、私がここであこれ解説するまでもない。
以上、音楽夜話の第1話でした。