見出し画像

#138 面白半分日記24 外国語習得の脳領域 多言語話者

いろんな国から来ている留学生たち(韓国、アメリカ、ロシア、中国、タイ、ベトナム、オーストラリアなど)と話していて、私は言葉の壁を感じたことがない。

なぜなら、彼ら彼女らは向学心旺盛で、日本語で学問を身に付ける覚悟をもって来日しているから、
日本語デ ハナシテモ ダイジョーブ ベンキョーニ ナリマスカラ」と言うのだ。

だから私はあえて英語や韓国語、中国語などは話さず、
「しょうがないなぁ~
じゃあ日本語で話しちゃおうか(^0^;)」と思うわけである。

留学生はトリリンガル(トライリンガル)が多い。
少なくとも3か国語は話せるということだ。

我が輩の辞書に第二言語、第三言語は存在しない。
しかし、我が輩は飼っている猫と独特の言語を共有している。

人間と会話できるソマリ
(アビシニアン長毛種)

学生時代、フランス語を学んだ。
まったく身に付いていない。

たとえば、男性名詞か女性名詞か、さらに単・複かで、冠詞 un、le、des、la、les を使い分けたり形容詞が変化するとか、もうムリ!

フランス語の先生は、私たちの能力に愛想をつかして、フランス文学の巨匠スタンダールの『赤と黒』(邦訳版)の読書感想文を書いたら単位をやると言ってくれて、みんなそれで救われたという、何とも情けない話だ。

留学生たちは、日本語は漢字が難しいとか、オノマトペが多くて、時々「ん?」という言葉もあるけど、話せるようになると楽しいと言う。

若い分、吸収力と応用力がすごい。

女子留学生  「センセーのセツメイ メキメキ デスネ」

わたし  「おーい、どういう意味だ?
メキメキ上達しているってことかな?」
(教室内、大爆笑)

そう、彼女は意味を分かっていて笑いを取りにいったのだ。
確信犯だ。

学生達の感想は「いつも先生と留学生の漫才が面白いです」だ。
ちがう! 漫才なんか一度もやっていない。

昨年からよく見ている動画がある。
名古屋在住の日本人青年のKazuma君が12カ国語を操りながら
Kazu Languages
をYouTubeやInstagramで配信し人気急上昇で、世界中の若者から支持を得ている。


彼は学生時代、英語はそんなに得意じゃなかったという。
スペインで6か月間暮らしたことをきっかけに覚醒したのだという。

多言語話者というのは脳の構造が特殊なのだろうか。
ちょっと調べてみた。

言語に関する脳の深部を解明しようとしている研究者がいる。

東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授と梅島奎立助教だ。
マサチューセッツ工科大学言語哲学科との共同研究において、
新たな言語に触れた時に「誰が、いつ、何を」習得したかをつかさどる脳部位を初めて特定したというのだ。

MRI装置を使い、日本語が母語であり英語やスペイン語等の習得経験のある参加者に対する実験だ。

文法的負荷の高い文法課題を解く際の脳内過程について調べたそうだ。
第一、第二言語においてこの脳領域が「文法中枢」として機能することは、これまでの研究で明らかになっている。

この文法中枢が第三・第四言語の習得でも重要な役割を果たし、多言語の習得効果が累積することで、より深い獲得を可能にするという仮説「言語獲得の累積増進モデル」を研究成果としている。

チョット、ナニ イッテルノカ ワカンナイデスケド


日本では、初等教育から英語教育を始めようということで、2018年度から先行実施又は移行期間として小学校に外国語活動英語が導入された。

2020年度からは正式実施され、小学3、4年生で外国語活動小学5、6年生からは英語が教科となっている。

日本人の英語力は毎年常に下降を続けてきたという。
この傾向は特に18~20歳の若年層が顕著であり、彼らの英語のスコアは直近の数年で「標準的 → 低い → 非常に低い」と低下しているそうだ。
(出典:「EF EPI英語能力指数」)。

日本人の英語力が低い原因として、個々の単語の記憶や文法の学習に頼るような従来型の勉強法に割く時間が多いことと、SNSなどで大量の文字情報やネイティブたちの音声に触れる機会があるにも関わらず、そこにあてる時間が圧倒的に少ないと考えられている。

「そもそも言語というのは学校的な勉強をするものではない」という言語学者もいる。

確かに、赤ちゃんが言葉を獲得する過程において、
「さあ、今日のレッスンは分詞構文だよ!
まずは復習ね!
IF文はどうだったかなぁ?」
・・・・とはやらない。

留学生の場合、母語が何語であるかを問わず大概は英会話もできる。

以前、私の授業を履修していた中国とタイの女子学生2人を連れ立って高校生のイベントを見学しに行ったことがある。

学生がパンフレットの文字(「みんなで学びまくろう!)を指さして質問してきた。

センセー コレ イングリシュデ ナンテ  イイマスカ

わたし 「あ~何て言うか、そのぉ・・・・
レ、レ、レッツ・・・Let's learn ・・・・togetherかなぁ
a lot of learning? 
always learning?
learning hard? 
deep learning?・・・・・
わかんないな、あはは(^^ゞ) 」

ことほど左様に、私の英語力は貧弱だ。

センセー、ワカッタデスヨ!
“なまら学ぼう”デスネ
(^0^)」

「いや、それ北海道弁だべ。まあ、そんなニュアンスかな(^^ゞ」
 
その中国人留学生は、来日してから大学入学までの3ケ月間、日本語学校へ通ったそうだ。

そこで彼女が感じたのは「これじゃダメだ。外へ出て話さなきゃ上達しない!」ということ。

日本語講座の受講をやめて、コンビニでのアルバイト接客と、休日は居住区の町内会の集まりに足繁く通い、おじいちゃん、おばあちゃんたちと会話を重ねて日本語をマスターしたのだ。

その甲斐あって、彼女は私の授業を難なくこなしている。
ときどき、「恐縮です」と言う彼女。

いや、こちらが恐縮いたします(^^ゞ

ことばは日常的に使ってナンンボか。

彼女たちとアジアの国々の政治や国際関係の話をしていても、日本語の微妙なニュアンスと日本人的気質を理解しているのか、非常に冷静で穏やかな意見を述べる。

まさか、日本人の私に忖度しているわけではあるまい。

私は日本語すら未熟なので語彙を増やすよう精進しなければならない。

そんなことを考え、こうして書いている間にも、私の脳細胞は毎日約10万個ずつ死滅している。

画像は、無料イラスト・フリー素材「イラストAC」より