#171 面白半分日記37 銀座の一等地で弁当299円
日銀が11年ぶりにマイナス金利を撤廃し利上げを決めた。
私はだまされない。
そんなことくらいで日本経済の立て直しができるなら、私も日銀総裁になれる。
いや、どういう理屈で言っているか自分でもわからないけど。
巨大システムに依存する経済は破綻すると私は授業で言い続けてきた。
でも、私はインチキ臭い教授と思われているのか、学生たちはちっとも聞く耳を持たず、そんなことより、私がいつどのタイミングでオヤジギャグをかますか待ち構えているのだ。
昨夏の北海道は北国なのに異常な酷暑が続いた。
学生たちは授業の終わりに私のところへやってきて一言お礼を言う慣習があった。
「センセー、今日も寒いギャグで涼しい体験ができました。あざっス!!」
真面目な話、学生たちには、もっと経済や金融に関心を持ってもらうために、まずは自分の財布の中身やスマホ決済の累積額、預金通帳の残高に意識を向けなさいと言っている。
物価高騰の折、少しでも節約しようと思い、昼食は学食で350〜450円程度の日替わり定食を食べている。
総菜(煮物、量り売りサラダなど)も1皿150円程度で足すことができる。お茶は無料。
大学周辺の一般の飲食店へ行くと、価格が一気に跳ね上がり800~1,000円近くはかかる。
自前の弁当やうどん、そばを持参して研究室でレンチンすることもある。
そういう時は、おそらく200円以内に収まっていると思う。
激安弁当が銀座のスーパーマーケット「オーケー」で売られているそうだ。
コストカットしているが素材も味もいいらしい。
299円弁当か‥‥
上京して銀座で会議に出席したり企業訪問したことは何度かあるが、スーパーやコンビニに立ち寄ったことはない。
「オーケー」は、サービス産業生産性協議会が行っている日本版顧客満足度指数(JCSI)の調査で、スーパーマーケット部門第1位を13年連続で獲得している人気のスーパーマーケットだ(神奈川、東京、千葉、埼玉の1都3県に店舗展開)。
キャッチコピーは、「高品質・Everyday Low Price」
ハイクオリティーな商品を、毎日いつでも安価に提供するという理念だ。
コンビニのランチ客単価が平均710円のご時世である。
それから見れば約400円安い。毎日買うとしたら20日間勤務で8,000円の差だ。
行動経済学的な観点でいえば、私たちの内面には「心理的財布」があり、東京の街なかで働くビジネスマンの多くは、昼食代に700円程度は支払ってもいい(もしくは仕方ない)と考えているということか。
オーケーは「THE鮭弁当399円」「ロースかつ重299円」などを販売しているが、物足りないと感じる客はサラダや総菜、飲み物の組み合わせて買うというクロスセル戦略だ。
ハンバーガーにフライドポテトや飲み物など、利幅の大きいものをセットにして売って利益を上げるやり方と同じだと言える。
目に付いたデザートとしてフルーツやロールケーキも買うとなると、まんまと作戦にハメられる。
オーケーでは高額品も売れており「付加価値がある」と判断された商品はすぐに売り切れるという。
むしろ、そちらで利益を上げているのだろう。
富裕層やイバンウンド需要も見込んでのこと。
なおかつ、調剤薬局もあり、さらに銀座の高級飲食店が食材を仕入れにやってくる業務用としての需要もあるという。
秋には東大阪市に大規模店をオープンするんだとか。
さて、この戦略はどこまで広がりを見せるのかな。